日本ハム新庄流に落合流との共通点 「昭和の血が騒いでいますよ」猛練習を予告

日本ハム・新庄剛志監督【写真:荒川祐史】

選手は戦々恐々? 「怖くはないのが、怖いんです」

プロ野球は2月1日のキャンプインまで残り3週間を切った。各球団で選手の自主トレが公開される中、日本ハムの話題と言えば新庄剛志監督だ。「これからの主役はマジで選手。俺じゃない」とは言うものの、そこは発信力の差。一挙手一投足が注目されている。その中で徐々に姿を現してきたのが“厳しさ”だ。決して「楽しい」だけが新庄野球ではない。選手がその境地にたどり着くまでには、他球団以上の厳しさが待っている。

【写真】新年最初のサプライズ? ポッコリお腹が目立っていた木田2軍監督がスリムに変身

新庄監督は9日に、千葉県鎌ケ谷市で行われた日本ハムのスタッフ会議に参加、新人合同自主トレの初日を視察した。「楽しみな日に着ていることが多い」という赤色のセーターに、黒のマント風コートという姿。ド派手な衣装とは裏腹に、口にした言葉にはド根性の色が滲む。

「下向いてふてくされていたら2軍。昭和の血が騒いでいますよ。僕のお父さんは合気道の先生だったからね。怖くはないのが、怖いんです」

求めているのは選手の自覚だ。見られていることを自覚させ、自分に何が必要なのか考え、行動することを求めている。面と向かって怒ることは、多くないだろう。だからこそ道を踏み外した時には、スパッと切るのではないか。

さらに、キャンプの練習日程にも、昭和の色が色濃く出てきそうだ。「(2軍キャンプの)国頭は遅くまでやると思いますよ。ボールが見えなくなったら終わりと言うか……。小さい頃って、学校が終わって野球をやって、ボールが見えなくなったら終わっちゃって、悲しいという気分になったでしょ。そんな感じで」と予告。全体練習の短さが特徴の日本ハムキャンプに、変化が現れるのだろうか。

落合流との共通点「練習はものすごくさせたいと思っている」

また、日本ハムのキャンプは1か月の期間中、12試合の実戦が組み込まれている。2月6日から紅白戦、同8日には阪神と対外試合初戦を戦う。実戦を多く組むのは例年通りだが新庄監督は「試合が多いでしょ。練習させたいんですよね。練習はものすごくさせたいと思っている。大事ですから」と猛練習を予告する。

3年連続の5位に終わったチームだ。徹底した練習で、技量を高めなくては話にならない。2004年に中日の監督となった落合博満氏が、大きな補強なく猛練習でリーグ優勝させた姿ともダブってくる。

年末、新庄監督は様々なテレビに出演。番組や自身のSNSを通じての発言は計算されてのものだ。「プロ野球界に発信しているようなもんなんで。多分、他のチームも見てますよ。プロ野球を変えていこうという意識でやっています」と、新たな考え方が物議を醸すことも承知の上。一方で、野球が上手くなる近道は、練習以外にないと伝えているようにも見える。

日本ハムでの現役時代の新庄監督は、発する言葉と言えばお立ち台でのヒーローインタビューか、自ら本塁打を打つたびに命名する「〇〇打法」くらい。どこか秘密めいたイメージと、時に発する言葉や実行する“パフォーマンスの“破天荒さで記憶される。一方で監督・新庄剛志が発する野球観は新しさとともに、どこか懐かしい。昭和流の成否は、チームの成績となって現れる。(羽鳥慶太 / Keita Hatori)

© 株式会社Creative2