広島・栗林は大丈夫? 新人王翌年の「2年目のジンクス」はあるのか【セ編】

広島・栗林良吏【写真:荒川祐史】

澤村拓一は巨人で45年ぶりに1年目から2年連続2桁勝利

プロ野球界でよく言われる「2年目のジンクス」。実績のない若手選手が大ブレークした翌年に不振に陥ることを指し、その理由としては相手から徹底研究されることや前年からの疲労の蓄積などが挙げられる。昨年のセ・リーグは37セーブを挙げて新人王を受賞した広島・栗林良吏投手の他、阪神・佐藤輝明内野手ら5選手が新人特別賞を受賞するなど若手の当たり年だったが2022年シーズンはどうだろうか。ここでは過去10年のセ・リーグ新人王の翌シーズンの成績を振り返る。

○2011年:澤村拓一(巨人)
29試11勝11敗、防2.03→27試10勝10敗、防2.86
巨人では1966、67年に堀内恒夫が達成して以来、45年ぶりに1年目から2年連続2桁勝利をマークした。日本ハムとの2012年日本シリーズ第2戦で先発し、8回3安打無失点の好投で勝利投手になり、日本一に貢献した。

○2012年:野村祐輔(広島)
27試9勝11敗、防1.98→23試12勝6敗、防3.74
2年目は前年よりも防御率は悪化したが、白星を3つ増やして前田健太の15勝に次ぐチーム2位の12勝をマークした。

○2013年:小川泰弘(ヤクルト)
26試16勝4敗、防2.93→17試9勝6敗、防3.66
1年目に最多勝と最高勝率のタイトルを手にした右腕は、2年目の4月に打球を受けて右手有鉤骨鉤を骨折。約3か月離脱したのが響いて成績を下げた。

○2014年:大瀬良大地(広島)
26試10勝8敗、防4.05→51試合3勝8敗2S20H、防3.13
1年目は先発として10勝をマーク。2年目はチーム事情で6月から救援に配置転換され20ホールドと役割を果たした。

○2015年:山崎康晃(DeNA)
58試2勝4敗37S7H、防1.92→59試2勝5敗33S7H、防3.59
新人最多記録となる37セーブを挙げた右腕は翌年、防御率は悪化したが2年連続30セーブ以上をマーク。球界を代表する守護神へと成長していった。

阪神・高山俊【写真:荒川祐史】

阪神・高山は2年目に打撃不振、昨季は1軍出場機会がなかった

○2016年:高山俊(阪神)
134試136安8本65点5盗、率.275→103試82安6本24点6盗、率.250
球団の新人最多安打記録を更新する活躍を見せた1年目だったが、翌年は打撃不振に陥り前年を下回った。6年目の昨年は1軍出場機会がなく苦しんでいる。

○2017年:京田陽太(中日)
141試149安4本36点23盗、率.264→143試136安4本44点20盗、率.235
1年目は球団新人最多安打記録を更新。翌年は打撃成績を落としたが、2年連続20盗塁以上をマークした他、守備では失策数を前年の14から6に減らすなど改善した。

○2018年:東克樹(DeNA)
24試11勝5敗、防2.45→7試4勝2敗、防3.76
巨人相手に5勝を挙げるなど1年目はチームトップの11勝をマークしたが、2年目は左肘痛の影響で7登板にとどまり、20年2月にトミー・ジョン手術を受けた。

○2019年:村上宗隆(ヤクルト)
143試118安36本96点5盗、率.231→120試130安28本86点11盗、率.307
2年目にブレークし、高卒2年目以内では最多タイの36本塁打をマーク。翌20年も120試合制ながら28発を放ち、打率も3割をマークした。

○2020年:森下暢仁(広島)
18試10勝3敗、防1.91→24試8勝7敗、防2.98
1年目は2桁勝利をマークし、防御率はリーグ2位。2年目の昨年は新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者となるなど不運もあったが8勝をマークした。

過去10年を見る限り、高山や故障離脱した東を除けば前年並みか順調にステップアップした選手が多い。昨年は栗林の新人王に加え、ルーキーではDeNA牧秀悟内野手、阪神・佐藤輝明内野手、中野拓夢内野手、伊藤将司投手、高卒2年目のヤクルト奥川恭伸投手の5選手が新人特別賞を受賞した。彼らが今季どんなパフォーマンスを見せるか注目だ。(Full-Count編集部)

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