〈ジャンプ〉髪伸ばし「誰かのために」 上越市立大手町小5年 亀井翔大郎君(11)

 2年9カ月伸ばしてきた髪の毛を9日、ばっさりと切った。切った髪は本人の希望で、病気や事故で頭髪を失った子どもたちのウイッグ(かつら)の材料として役立てられる。

 きっかけは小学校の先輩の男の子。ウイッグに役立てたいと髪を長く伸ばしていることを聞き、興味を持った。それまでは丸刈り。家族は「1年ももたないのでは」と半信半疑で見守ってきた。春は伸びた髪に花粉が付着し、目がかゆくなった。冬はスキーウエアのチャックを上げる際、髪を巻き込んでしまい面倒だった。それでも髪を伸ばし続け、約3年で寄付に必要な31センチ以上の髪の束が20本できた。

 「何か人の役に立ちたいと思ったけど、自分は不器用。でも、髪を伸ばすくらいならできるかも」と思い、やり抜いたという。母親の夕子さんは「途中で諦めると思ったが、よく頑張った。小さな頃、東京の病院で医師から『小児がんの子どもはどんどん髪が抜けていく』と聞かされたことも、頭の中にあったのでは」と振り返る。

 再び髪型は丸刈りに戻った。「頭が軽くなった。お風呂上がりのドライヤーもなくなった」と笑顔。次の目標は、短くなった髪で水泳のタイムを上げることだ。

切った髪の束を握り「軽くなった」と笑顔を見せる亀井君

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