野球を知らなくても自由なアイデアを PLMが開催した画期的なイベントとは?

「ISSUE COMMITTER企画」第1弾がオンライン上で開催された【写真提供:PLM】

課題は「デジタルネイティブ世代(10代~20代)の新規ファン層開拓」

ジョブ型雇用、転職、課題解決型……。ここ数年で「働く」ことに関する世の中の価値観が大きく変わりつつある。そんな社会の「新しい働き方」を先駆的に体現しているイベントといえるだろう。

12月22日、パシフィックリーグマーケティング株式会社(以下、PLM)は「ISSUE COMMITTER企画」第1弾をオンライン上で開催した。このイベントは、2021年度パ・リーグオフィシャルスポンサーである総合人材サービスのパーソルグループの「パーソルイノベーション株式会社」が運営する「TECH PLAY」との共同企画だ。

「スポーツマーケティング×人材サービス」という異業種の両社が、互いの強みを生かして企画した「ISSUE COMMITTER企画」は、企業側も参加者もともにプラスになる“Win-Win”な企画。企業側は参加者の多様な知見から出たアイデアや視点を吸収でき、参加者もイベントをきっかけに企業から採用されることもある。

「ISSUE COMMITER」の「ISSUE」とは、企業が抱える現場の具体的なプロジェクト課題のことを指す。PLMでは今回、“ISSUE(課題)”を「デジタルネイティブ世代(10代~20代)の新規ファン層開拓」として提示し、ディスカッションを重ねた。

そして「ISSUE COMMITTER」は「TECH PLAY」が運営する、クローズドのオンラインイベント。企業と参加者(COMMITTER)が双方向にコミュニケーションを取りながら、企業が抱える課題について議論を深める。イベントは2時間弱だが、企業の方針や求めている人材とマッチした場合は、課題解決に向けたディスカッションを1on1(企業と参加者)にて実施する可能性もある。

企業秘密も公開。参加者と現場の「リアル」を共有する

今回進行役を務めた「TECH PLAY」の武藤竜耶さんは、「学ぶ」姿勢を重視していると話す。「働き方として、企業に属するより自分の関心のある問題を自分の力で解決したいという視点に変わってきている。近年、企業は自分たちのできていないことを社会に共有していく機会が必要」と武藤さん。今回のイベントには「企業でさまざまな経験を持つ参加者がPLMの“ISSUE”に触れ、両者のマッチ度が高まれば」という願いが込められている。

第1弾の今回は、PLMから佐々木将之執行役員メディア事業本部本部長と、平山太郎CTOが登壇。彼らはスポーツマーケティングの現場で活躍する、いわば「プロ」だ。

メインで扱うコンテンツは「野球」だが、今回議論するテーマは「デジタルマーケティング」。参加者の中にはパ・リーグのファンも、野球にはあまり興味がない人もおり、バックグラウンドや知見はさまざまだ。その一方でPLMも“企業秘密”と呼ばれる情報も公開して議論を行うため、イベントに向かう両者は真剣な眼差しで挑む。

しかし堅苦しい雰囲気は一切ない。ZOOMのチャット機能を用いて「今日のお昼ごはん」を共有するなど、フランクなコミュニケーションとともに会は進行した。イベントでは、佐々木氏がPLMが抱えている“ISSUE”を公開。クローズドなイベントのため、リアルな数字や今後の戦略について、着飾ることのない「現場の生の声」を参加者と共有した。

その後、参加者は自身の体験や知識とかけ合わせ、自由にアイデアを発想。各自でファンのペルソナを想定して、新企画案を作成した。ペルソナは多岐に渡っており、中には「野球はルールが難しいから、コンテンツを見ても興味が湧かなくて…」などの“リアルな声”も。佐々木氏や平山氏も「私たちのファン像の捉え方も根本から見直す必要があるかもしれない」と、今後につながるヒントを得たようだ。

佐々木氏「自分たちのISSUEを根底から整理し、見直す良い機会となった」

後半は佐々木氏と平山氏がピックアップしたアイデアをもとに、新企画案について参加者と議論を深めた。デジタルマーケティングのプロの目に留まった発想はどれも魅力的。発案者との対話を通じて議論を深堀りし、白熱したディスカッションは時間いっぱい行われた。

イベント後、PLMの平山氏は「組織は意外と外部の声を聞けていないと痛感した。企業の良い面を見せ、一方通行になりがちな現状の採用において、あえて課題を提示して交流するのは非常に効果的だと思う」と満足げに振り返った。

佐々木氏は「非スポーツ業界の方とつながりを持てたことはとても貴重。自分たちのISSUEを根底から整理し、見直す良い機会となった」とコメント。企業側からも好評が寄せられた「ISSUE COMMITTER企画」第1弾は、ここから選ばれた参加者と個別に連絡を取り合い、ディスカッションを深めていく。もしかすると、今回の参加者からスポーツビジネス界で将来活躍する人材が現れるかもしれない。

第2弾以降については、再び両社が協力して進めていく予定。今回とは異なる切り口で、相互に「学び」合える機会を提供していく。(「パ・リーグ インサイト」小野寺穂高)

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

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