毎月赤字気味の39歳会社員「趣味は大切にしたいし仕送りも削れない」どこから改善する?

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、39歳独身の会社員の方。住宅ローンを支払い、親への仕送りをしながら暮らしていますが、毎月赤字気味。将来が心配だと言いますが、趣味や楽しみは削りたくないとのこと。どこから支出改善するべきでしょうか? FPの横山光昭氏がお答えします。


8年ほど前に離婚し、間もなく40歳になります。私はペットと一緒に暮らしているものの、今後、結婚するつもりはなく、親を支えながら生きていきたいと考えています。

老後は年金では足りない生活費の補てんのために、2,000万円ほど必要だという話が以前ありましたし、自分の親が介護状態になるなど面倒を見る可能性も考慮し、お金を貯めていかなくてはならないと思っています。

自分の老後のためにと思い、1人で暮らせるだけの広さのマンションを5年前に購入しました。その住宅ローンの返済と、親への仕送りをしながらの暮らしですが、毎月赤字ぎみで、お金が貯まりません。ボーナスが手取りで年間110万円ほど支給されるのですが、赤字補てんと、洋服の購入でほぼ残らない状況です。できれば、貯金をしながら投資も始めたいと思っているのですが、現状のままでは不可能でしょうか。

趣味や楽しみも大切にしていきたいと思っているので、支出がなかなか減らせないのですが、上手くコントロールして楽しく暮らしながらお金を備えていく方法はないでしょうか。両親への仕送りは減らしたくありません。

【相談者プロフィール】

・39歳、会社員

・手取り収入:月収32万6,000円、年間ボーナス約110万円

・貯蓄額:約800万円

・毎月の支出の目安:37万3,000円

【毎月の支出の内訳】

・住居費(住宅ローン+管理費):6万3,000円

・食費(外食含む):5万8,000円

・水道光熱費:1万4,000円

・通信費(スマホ1台):7,000円

・生命保険料:3万円

・日用品代:5,000円

・医療費:5,000円

・教育費:2万3,000円(ジムなど)

・交通費:6,000円

・交際費:3万円

・娯楽費(ゴルフ): 3万5,000円

・その他:1万6,000円

・ペット代:5万1,000円

・両親へ仕送り:3万円

横山:一人暮らしとしては、支出それぞれのボリュームが大きいように感じます。支出にメリハリをつけ、コントロールしていけると、楽しみを残しつつ支出を下げられるようになるかもしれません。

優先度の高い支出以外を減らすよう検討を

ご相談者は、仕送りは減らしたくない、趣味や楽しみも減らしたくないと、優先したい支出がある程度決まっているようです。優先したい支出も、そうではない支出も同じようにお金をかけていると、支出が減ることはありません。ですから、優先度があまり高くない支出を中心に減らすことを検討し、支出のバランスをコントロールしていきましょう。

そう考えて支出を改めてみていくと、スマートフォンの利用料、生命保険料は、契約内容の見直しをすると減らせる可能性が高いと思います。特にスマホ代は、今は大手キャリアのオンライン専用プランも出ていますし、利用の仕方に合わせた料金の安いプランを選べるでしょう。また、生命保険では不要な保障をつけず、現状に合った保障を選択することで、支出を下げられる可能性があります。

また、通われているスポーツジムは、きちんと通われていますか。通われていない場合は浪費とも言えますので、継続するか否かを検討してもよいでしょう。

交際費についても、できるだけ自分の将来や仕事に意味のあるものに絞ってお金をかけるようにしていくと、支出が絞れるように思います。また、ペット代は支出額が大きいので、支出内容を精査し、支出をすべきところ、控えても構わないところを見極めて、少しでも削減する意識を持つとよいかもしれません。

洋服代は予算と計画性をもって

洋服代はボーナスからということですが、予算をもって購入に充てているでしょうか。ボーナスから年間の洋服代を予算するのは、毎月の収入からでは購入しにくい衣類、例えばコートなどを購入する計画も立てやすいメリットがありますし、やりくりとしては上手な策となる場合も多いもの。ですが、予算の枠をきちんと持たないと、支出がどんどん大きくなってしまう可能性もあります。年間で20万円、30万円など枠を持ち、管理していきましょう。

洋服代がかかるのは、現役のうちだけなどと考えて、ボーナスで無計画な買い物をしていると、年金生活に入った時には洋服にかかるお金が捻出できず、貯蓄頼りとなってしまいます。それも計画的であればよいのですが、「老後は支出を減らせるだろう」とタカをくくっていると、貯金の減りが早い(=老後資金が不足する)、洋服代をねん出できないなどの問題がおこってしまいます。

老後への「~だろう」という予想は、大抵そうなりません。今と変わらない前提で考え、もし老後に減ることがあればラッキーだと捉える程度にとどめておきましょう。つまり、今のうちから管理の仕方、お金の使い方を整えておいた方が良いということです。

家計に影響を出さない支出の仕方を習慣化し、やがて来る老後に備えましょう。

毎月の支出を抑えられたら、積立投資デビューを

現在の貯金800万円は、十分「生活防衛資金」になりますし、ご両親の介護などが必要になった時の資金としても使えます。現金の備えは十分だと思えます。さらに、毎月の支出をコントロールできるようになり、毎月余剰金を出せるようになったら、投資を始めることを考えてよいと思います。ご相談者はすでに投資を意識されているので、家計状況によっては、口座を開設するなど動き出してもいいでしょう。

投資は初心者だと思いますから、取り組むべき投資は「長期・分散・低コスト」を意識した投資信託の積立がよいと思います。特に、税制優遇のあるiDeCo、つみたてNISAなどの制度を利用するとよいですね。

iDeCoは60歳になるまで引き出せませんが、老後資金作りには最適。つみたてNISAはいつでも引き出せるので、60歳前に資金が必要になる可能性に備えるにもよい制度です。それぞれの特徴を学び、目的に合ったほうを利用してください。

余剰資金に余裕が出たら、NISAとiDeCo、両方に取り組むのもあり

家計改善が進み、毎月の余剰金が多く出るのであれば、両方に取り組んでもらうのがよいと思います。両制度は、なんといっても運用益に税がかからず、増えたら増えただけ自分の利益になるところが強みです。掛け金の上限をめいっぱい使えば、非課税の運用の恩恵を最大限受けられるというわけです。

今回は制度の詳細説明は割愛しますが、まずは家計の改善を目指して、その余剰金で積立投資をするという段取りで、家計改善、資産形成に努めていただければ、老後資金作りは間に合うのではないかと思います。ぜひ、頑張ってください。

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