特殊詐欺の被害金200万円運搬 「故意がない」と無罪主張も有罪判決 横浜地裁

 特殊詐欺の被害金200万円を運搬したとして、盗品等運搬の罪に問われた住所不定、無職の男(51)の判決公判が13日行われ、横浜地裁(渡邉史朗裁判官)は懲役2年6月、罰金20万円、執行猶予4年(求刑懲役2年6月)の判決を言い渡した。

 弁護側は、運搬した金銭が特殊詐欺の被害金とは認識していなかったため故意がないと訴えていた。一方、検察側は、特殊詐欺の末端である「受け子」からグループの上位者に現金を運搬する役割を果たしていたと指摘していた。

 渡邉裁判官は判決理由で、男は事件当日以前にコインロッカーに入れる方法で別の関係者に多額の現金を受け渡し、数万円の報酬を得たり、関係者同士が直接会話することを禁止されたりしている点を踏まえ、「通常の仕事に比べ明らかに不自然」と指摘。「表沙汰にできない違法行為の可能性を十分に認識していたと推認される」と結論付けた。

 判決によると、男は2020年7月28日、氏名不詳者らがだまし取った現金200万円を、横浜市南区の路上から都内または周辺に運んだ。

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