“ちょっと便利”を目指す「発明兄弟」 日常生活を良いものに!

「身近なヒント発明展」は“普段の生活をちょっと便利に”そして生活を楽しくする品々を生み出してきました。2021年末に発表された大賞は「楽々つめかえボトル」(桃原真紀さん)で、ポンプの押す部分がふたになっているため、いちいちノズルを外さなくても中身の補充ができるという優れものです。今回、コンクールで東京都内に住む小学生兄弟が特別賞を受賞しました。一体どんな発明をしているのでしょうか。

年末に表彰式が行われた「身近なヒント発明展」で受賞者のリストを見てみると、こども発明部門に同じ名字がありました。岡安来人君(11)・七斗君(8)の兄弟です。"岡安兄弟”がどんな発明をしたのか、荒川区の自宅を訪ねました。

兄・来人君の発明品『簡単ジェットバスと打たせ湯』は、湯船にポンプを入れて押すとペットボトルからお湯が出て打たせ湯になる、逆にポンプを外に出してペットボトルを湯船に入れると泡が飛び出すというものです。電気を使わず廃材を利用している点も高く評価されました。来人君は「テレビで持ち運べるジャグジーを見て、いいなと思って作ってみました」と話しました。

来人君の発明品はまだまだ他にもあります。始業式や終業式の日など、必要な荷物を詰め込むと閉まらなくなるランドセルの悩みを解決してくれるのが『ランドセル拡張部品』です。膨らんで金具が届かなくなってもゴムを使って閉めることができるという、まさに小学生ならではの発明です。

一方、弟の七斗君が受賞した発明品もランドセル関連のグッズです。七斗君は「お兄ちゃんがランドセルのものを作っていて、僕も作ってみたいと思った」と話します。兄の作品にインスピレーションを受け「自分なら違う方法で便利にできる」と別の発明品を考案したのが『荷物が入るランドセル雨カバー』です。七斗君は「チャックが付いていて、先生に出すプリントがしまえる場所が作ってある。連絡袋に入っているものが多いので、他にどこかしまうところがないかなと考え、ランドセルの外に取り付けた」と話します。

小学生の目線で"日常をより良くしよう”とする岡安兄弟について、コンクールを主催する発明学会の松野泰明事務局長も高く評価します。松野さんは「来人君の発明品『ジェットバス』は、電気を使うのは当たり前の発想となるところだが、手動で自分でできる手段で実践できるように頑張ってやってみたというのが非常に評価できる」といいます。さらに、弟・七斗君の作品については「実はそのまま売れるんじゃないかと思う。とても小学生とは思えないような完成度」と太鼓判を押します。

兄の来人君は現在、パソコンと3Dプリンターを使って新たな発明「二重になるスプーン」を設計しています。来人君は「カレーを食べた後にヨーグルト食べると変な味になっちゃうので、1回食べてももう1回使えるようにと考えた」と話します。まさに「進化する発明兄弟」です。

2人はどのように育ってきたのでしょうか。母親の理世さんに教育方針を聞きました。理世さんは「基本的には見守り、子どものやりたいことや発想を大事にしている。ただ、子どもだけだとどうしても知っている範囲が狭いので、例えばコンテストに応募すると子どもの励みになるのかなと思っている」「子どもがやってみたいとなった時、やろうかと話しながら進めています」と話します。

そんな兄弟の将来の夢はやはり発明家なのでしょうか。来人君は「プログラマーと大工。プログラマーはプログラミングに興味があってやってみたい。大工は木で家を造ることに興味があって面白そうだなと思って」と話します。一方、七斗君は「シェフとスケボーの選手。シェフは小さい頃、お母さんやお父さんがチャーハンを作ってくれて、それがおいしかったから僕も作ってみたいなと思って。将来シェフになりたいなと思いました」と話してくれました。

2人の自由な発想はまだまだ広がり続けています。

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