サリチリデンアミン結晶の光による変形機構を解明

光によって操作できるセンシングやスイッチング、メモリ、アクチュエータの開発に一歩前進

本発表の詳細は、早稲田大学のホームページをご覧ください。
https://www.waseda.jp/top/news/77876

発表のポイント

光によって相転移を発現するサリチリデンアミン結晶の複雑な変形機構が解明できていなかった。

動的多層モデルによる変形シミュレーションを行うことで、光応答現象(ねじれ変形と超弾性変形の両方)がこの有機結晶で生じる仕組みの解析を実現した。

光応答性材料技術の進展により、新しい駆動原理のアクチュエータ開発につながる可能性がある。

光や熱といった外部刺激によって変形する有機結晶はアクチュエータ材料として期待されています。

早稲田大学(東京都新宿区、総長:田中愛治)の谷口卓也(たにぐちたくや)准教授を中心とし、茨城大学(茨城県水戸市、学長:太田寛行)の倉持昌弘(くらもちまさひろ)助教、および芝浦工業大学(東京都港区、学長:山田純)の重宗宏毅(しげむねひろき)准教授らの研究グループは、このたび光によって光異性化相転移という2つの現象を発現するサリチリデンアミン結晶のねじれ変形を観察およびシミュレーションし、その変形機構を明らかにすることで、光で超弾性変形が起きることを初めて見出しました。

これは、ひとつの結晶でねじれ変形超弾性変形が起きるという特異な光応答現象であり、光応答性材料の新しい機能性につながる可能性があります(下図)。

本研究成果は、英国の王立科学会により出版される『Communications Chemistry』のオンライン版に2022年1月10日(月)(グリニッジ標準時)に掲載されました。

論文名:Superelasticity of a photo-actuating chiral salicylideneamine crystal
掲載日時(日本時間):2022年1月10日(月)19:00
掲載URL:https://doi.org/10.1038/s42004-021-00618-8