世界自然遺産の奄美大島で新種 「アマミサクライソウ」発見

新種と判明したアマミサクライソウ=2011年7月(高橋弘氏提供)

 奄美大島に自生する植物「サクライソウ」が本土とは異なる新種と分かった。岐阜大学の高橋弘名誉教授(75)=植物分類学=らが日本植物分類学会の国際学術誌で論文を発表し、「アマミサクライソウ」と命名した。

 サクライソウは、森の真菌を根に取り込んで養分を補給する「菌従属栄養植物」。葉緑体を持たず、光合成をしない。本土では岐阜県などに分布が限られる絶滅危惧種で、同県可児市の自生地は国の天然記念物に指定されている。

 奄美大島のサクライソウを岐阜や長野の個体と比較した結果、背丈が5センチ前後と低く、花が密集して咲く特徴が判明。遺伝子解析でも別種と分かり、新種として昨年11月発行の国際学術誌に掲載された。

 40年以上サクライソウの研究を続ける高橋名誉教授によると、アマミサクライソウの自生地は島内のごく一部しかない。「世界自然遺産登録で評価された生物多様性の証し。しっかりと保全してほしい」と話した。

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