「最後の一杯」求め長蛇の列 小山駅の人気立ち食いそば店閉店 新海誠監督アニメの聖地

最終営業日でにぎわった小山駅きそば

 人気アニメの「聖地」として注目を集めたJR小山駅(栃木県小山市)構内の立ち食いそば店「小山駅きそば」が14日、最終営業日を迎えた。宇都宮線上りホームにある店の前には、「最後の一杯」を求める客が長蛇の列を作り、会員制交流サイト(SNS)には閉店を惜しむ投稿があふれた。

 閉店はJR東日本のグループ会社再編に伴う委託契約終了のため。委託運営会社の中沢製麺(栃木市平柳町)によると、先週末の3連休にはホームに100メートルほどの列が絶えず、普段の平日の3倍以上に当たる1日1千杯近いそばを売り上げた。

 中沢製麺は1991年から、かつて小山駅構内にあった3店舗を運営していた。新海誠(しんかいまこと)監督の人気アニメ映画「秒速5センチメートル」で、両毛線ホームにあった店がモデルとなったことがある。

 同社の中澤健太(なかざわけんた)社長もこの日、自ら行列の整理に当たった。「この店は多くの人の記憶に刺さっているのだと、改めて感じた」と感慨深い面持ちだった。

 天玉そばを食べに来た東京都葛飾区、教員男性(61)は「鉄道マニアの間でも閉店が話題になっていた。チェーン店にはない個性的な店がホームからなくなるのは寂しい」と残念そうに話していた。

© 株式会社下野新聞社