長崎大が第6波を推計 接触機会7割減でも1日当たり400人台に

本県の陽性報告数と今後の予測

 長崎大は14日、新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の強い感染力を踏まえた県内の流行第6波のシミュレーションを公表した。市民同士の接触機会を今すぐに7割減らせたとしても、1日当たり新規感染者数は今後400人台後半になると推計。「対策の遅れがこれまで以上に影響する」と注意喚起した。
 推計したのは同大熱帯医学研究所の有吉紅也教授や砂原俊彦助教らでつくる疫学検討班。オミクロン株の伝播(でんぱ)力はデルタ株と比べ最大2倍程度に増大した可能性があるとみて、ワクチンの感染予防効果をデルタ株86%、オミクロン株30%とそれぞれ想定した。
 推計によると、14日を起点に市民が接触機会を7割減らした場合、感染のピークは470人で第5波(昨年8月19日の114人)の約4倍となる。6割減であれば539人、5割減にとどまると約8倍の956人に上る。さらに、対策が3日遅れた場合は、接触機会を7割減らせても1028人に達する。6日遅れると、7割減で2216人、5割減なら3255人まで増加する。
 有吉教授は記者会見で、早期の緊急事態宣言発令など規制強化の必要性を問われると、言及を避けたが、第5波までの経験を基準にした対策では「手遅れになる」と指摘した。その一方、過去のシミュレーションでは、規制強化前の県民の自主的な行動変容により、実際の感染ピークが推計を下回ったこともあると期待を込め強調。有効な感染対策として▽3回目のワクチンの早期普及▽日常的に会っていない人との接触回避-を挙げた。
 同大は流行のたびにシミュレーションを実施してきた。オミクロン株はまだ分析の精度を高める情報が不足し、「これまでのようにはいかない」(有吉教授)としながらも、早期の対策が必要として公表に踏み切ったという。


© 株式会社長崎新聞社