長崎原爆資料館内「Cコーナー」 改善意見相次ぐ 展示構成の見直し検討

運営審議会で、館内について説明する篠﨑館長(右奥)=長崎市、長崎原爆資料館

 長崎市は14日、長崎原爆資料館(平野町)内にある戦争と核兵器の問題などに関する「Cコーナー」の展示について、見直しを検討していることを明らかにした。核兵器を巡る最新の国際情勢などを展示に反映できていないことが主な理由。同日の同館運営審議会で報告し、委員からは若い世代にも分かりやすい展示を求める声や、展示スペースを含めた抜本的な改善を要望する意見があった。
 同館は、原爆投下前の長崎や原爆被害の惨状などについて、A~Dの4コーナーで紹介。Cコーナーの展示構成を見直すのは1996年の開館以来初めてとなる。時期は未定。
 Cコーナーにある年表は、スペースの関係で2008年1月までしか掲載できていない。それ以降の出来事は近くのタッチパネルを操作して閲覧する形を取っている。核兵器の変遷や被爆から復興への歩みなども十分伝えられていなかった。
 審議会の委員を務める被爆者や有識者らからは「タッチパネルでは、人の流れが止まってしまう」など、改善を求める意見が相次いだ。新たに盛り込む要素としては被爆者や若い世代による活動、歴史や科学の最新の知見などが上がった。
 一方、展示スペースの広さも議論に上がった。「現状はコンパクトだが限界がある。広さの克服も検討を」といった指摘や、「いかに効率的に分かりやすく伝えられるかが課題」として、専門家チームによる検討が必要との意見もあった。
 市は今回の意見を踏まえ、新年度に予定する次回の審議会で一定の方向性を示す予定。篠﨑桂子館長は「いくつも課題はあるが、最新情報を追加するだけでなく、若い世代に伝えられるようにしたい」と語った。


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