ホンダ電撃復帰の松下信治「オファーを頂いたときは素直にうれしかった。星野さんにも相談しました」

 1月14日に発表された2022年ホンダモータースポーツ参戦体制発表会のなかで、四輪部門のなかで一番のサプライズとなったのが、昨年ニッサンに移籍した松下信治のホンダへの復帰だった。その発表直後の松下に、心境を聞いた。

 ホンダの育成ドライバーとして前身のGP2時代からFIA-F2に5シーズンに渡って参戦しながらF1へのステップアップが叶わず、昨年国内に活動を移した松下。心機一転、ニッサンに移籍してGT500では初優勝、スーパーフォーミュラでもポールポジションを獲得するパフォーマンスを見せ、次世代のニッサンのエース候補と目される活躍を見せていたなかで、今季、電撃的にホンダに復帰することになったが、出戻りのアプローチは、ホンダ側からだったようだ。

「もともとはホンダで育ててもらってレースをしてきたので、この話を頂いた時には素直にうれしかった」と出戻りオファーを受けたときを振り返る松下。

「もちろん、ヨーロッパから日本に帰ってきてニッサンで走らせてもらって、いろいろ学ばさせてもらったことは本当に感謝していますし、ニッサンで走れていなかったら、今回のオファーはもらえていなかったと思うので、本当にニッサンを始め、昨年お世話になったみなさまにはありがとうございましたと伝えしたいですね」

 移籍の決断は簡単ではなく、恩師でもある星野一義監督にも相談したという。

「もちろん、オファーを頂いた時には自分のドライバーとしての将来のことをいろいろ考えました。『じゃあ、行きます』というように、すぐに結論が出たわけではないですし、難しい決断になりました。もちろん、星野(一義)さんを始め、いろいろな方に相談もさせてもらいましたし、いろいろな方に聞いて自分なりに考えた結果、(移籍を)決めました」

 ホンダに復帰初年度と言えども、松下のキャリアと実績から、すぐに結果を求められる立場になる。

「本当にホンダさんから期待をしてもらっている。今年はスーパーGTだけでなくもちろん、スーパーフォーミュラも含めてホンダさんのエンジンで走りますから、両カテゴリーでチャンピオンを獲れる環境と体制を与えて頂いたので、その期待に応えたいと思います」と松下。

 スーパーフォーミュラは昨年と同じくB-MAX Racingから継続参戦し、スーパーGTでは今季、Astemo REAL RACINGで塚越広大のチームメイトとして参戦する。

「塚越(広大)選手とはこれまで一緒になったことはないですが、全日本F3時代には僕は金石(勝智)さんのチーム(リアル・レーシング)でチャンピオンを獲らせてもらったので、古巣に戻ったと言えるのかなと思います」

 ホンダ陣営としても、有力な外国人ドライバーの来日が新型コロナの影響で難しいなか、パフォーマンスの高い松下の加入は松下自身の結果だけでなく、他のドライバー、チームへの大きな刺激が期待できる。

「ひさびさにホンダに戻りましたけど、全然、前にいた時と変わりはないですね。ドライバーの顔ぶれも一昨年とほとんど同じですし、雰囲気も変わらないですね」と、移籍後の陣営内の印象を語った松下。

 出戻りの松下がホンダ陣営にどのようなケミストリーを起こすのか。今年は松下の結果とともに、ホンダ陣営内の戦いもますます注目されることになる。

ホンダ2022年モータースポーツ参戦体制発表会で発表された松下信治の電撃復帰

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