NPB(日本野球機構)の東京ヤクルトスワローズのバッティングピッチャー(打撃投手)として昨年度入団した市橋崇見(しゅうけん)さん(25、関根学園高―龍谷大出)が1年間務め、チームの20年ぶり日本一の歓喜に立ち合った。年末年始に上越市に帰郷し、母校関根学園の恩師らに報告。2022シーズンも打撃投手として契約し、質の向上と連続日本一への貢献を目指す。
1年目は打撃投手を専任でこなし、用具担当のサポートも行った。1軍に帯同し、試合前に毎日、打撃投手を務めた。主な担当は、日本シリーズでMVPを獲得した中村悠平(31)や塩見泰隆(28)、西浦直亨(30)、川端慎吾(34)らレギュラー陣。1日4~6人の打者に120~130球を投げたという。
打撃投手の役割は「選手が試合にベストの状態で臨めるよう」にすること。投げる球種は直球が大半で、打者のリクエストに応じてスライダーなども交ぜる。ナゴヤドームの中日戦前には、その日対戦する投手を見据えフォークを要求されることもあった。
直球の球速は100キロ前後だが、「元野手の僕にとっては、100キロ前後でも毎日投げるのはきつかった」と話す。「ストライクを投げて打たせるのが仕事。ずっとストライクを投げるのは不可能だが、投げる努力はしていた。こいつはここに投げてくれるという信頼がないと」と、選手との信頼関係を大切にする。
20年ぶりの日本シリーズ制覇という歓喜の瞬間に立ち合った。日本一を決めた第6戦は屋外の神戸で行われ、「寒いの一言」。試合中はベンチ裏のモニターで戦況を確認し、高津臣吾監督(53)の胴上げに参加した。「自分自身、大きい優勝は野球人生で経験がなかった。1年目で一番の大きい優勝を経験でき、すごいうれしかった」と振り返る。ヤクルトに入る前にはBCリーグ・新潟アルビレックスBCでチームマネージャーを務めており、同チームの監督歴のある高津監督から春先にすぐ声を掛けられ、「すごく気さくな優しい方」と印象を話す。
1年間、打撃投手をこなし、「大変だったし、苦しい時期もあったけど、選手が結果を出し、勝ってくれたのがうれしかった。試合で打ったり、いいプレーをしたり、それが一番うれしい」とやりがいを話す。「(打撃練習は)試合前の大事な調整。選手の調子を崩すわけにはいかない」と常に気を配った。
次シーズンの契約を結び、引き続き打撃投手を務める。「雨が降ろうが、毎日投げる。どんなに疲れても苦しくても形にしないといけない。完成度を上げて、選手の要求に応えられるように」と話す。1月中旬からベテラン内川聖一選手(39)の自主トレに同行する予定。2月からキャンプが始まり、再びたくさん投げ込む。
2014年夏の高校野球新潟大会準優勝時の関根学園主将、内野手。