守備で見るセ6球団の“弱点”は? 阪神は二塁と左翼、広島とDeNAは穴だらけ…

阪神・糸原健斗【写真:荒川祐史】

日本一のヤクルトもチームUZRは大幅にマイナスで守備に課題あり

2月1日のキャンプインまで、あと3週間を切ったプロ野球。選手たちはキャンプに向けて自主トレに励んでいる。ペナントレースの行方を左右する重要な要素がディフェンス力。各球団における守備の“弱点”はどこにあるのか――。セ・リーグ6球団の昨季のポジションごとの力を守備指標で見ていこう。

【一覧表】各球団の“穴”が一目瞭然… 12球団のポジション別「UZR」の一覧

用いたのは、守備全般での貢献を示す「UZR(Ultimate Zone Rating)」。リーグにおける同じ守備位置の平均的な選手が守る場合に比べて、守備でどれだけの失点を防いだかを表す。検証には、セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTAのデータを参照した。

○ヤクルト
昨季日本一に輝いたヤクルトだが、見てみると決して守備の優れたチームではない。チーム全体のUZRは-22.7。ただ、それでもリーグでは3位だ。ポジションで見ると、サンタナの右翼が-16.3とリーグワースト。塩見が主に守る中堅も-9.0とリーグ最低だ。プラス指標なのは山田の二塁と青木の左翼だけ。守備を改善できれば、リーグ連覇に近づけるか。

広島・林晃汰【写真:荒川祐史】

広島は二塁を除く内野は全て大幅なマイナスに…

○阪神
リーグ優勝を逃した阪神のチーム全体のUZRは-23.2。失策数は12球団最多だったものの、UZRではリーグ4位に踏みとどまっている。ポジションで見ると、糸原の二塁が-12.5、サンズが守っていた左翼が-18.3でリーグワースト。右翼や一塁もマイナス指標と足枷になっている。大山の三塁、近本の中堅はプラス指標だ。

○巨人
チームUZR22.3はリーグトップ。大幅なプラスを生んでいるのは吉川の守る二塁の10.6。その他のポジションは、小幅なプラスだが、各ポジション、平均以上の守備貢献を見せていたと言える。唯一、マイナスだったのは坂本が主に守る遊撃。だが、坂本自身はUZR5.0とプラスで、他に守った廣岡や若林が指標を押し下げていた。

○広島
広島はチームUZRがリーグ5位の-24.8。特に内野陣の弱さが際立っている。捕手が本職の坂倉や助っ人のクロンらが守った一塁が-11.2、林が主に守った三塁が-22.8、小園が113試合で入った遊撃が-14.3と3つのポジションが12球団ワーストの数値だった。外野はどこも10前後のプラスになっており、内野の守備力アップは解消しなければならない課題だろう。

○中日
チーム全体のUZRは巨人に次ぎリーグ2位の17.1。大きな守備の穴となっているポジションは少ない。その中でマイナス分が大きかったのが、高橋周の三塁と大島の中堅。三塁は-4.6、中堅は-7.8となっており、特に中堅はリーグ5位だった。大島は36歳とベテランの域にきており、中堅の後継者が出てきてほしいところか。

○DeNA
昨季、最下位に沈んだDeNAの守備は12球団でワーストだった。チームUZRは-31.0。守備で31点、余分に与えていたということになる。辛うじてプラスだったのは、牧が主に守った二塁と宮崎の三塁だけ。外野は3ポジション全てでマイナスで、佐野の左翼は-15.5と凹みが大きかった。大和や柴田が守った遊撃も-9.2と苦しい数字が並んだ。

【一覧表】各球団の“穴”が一目瞭然… 12球団のポジション別「UZR」の一覧

【一覧表】各球団の“穴”が一目瞭然… 12球団のポジション別「UZR」の一覧 signature

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』も運営する。

© 株式会社Creative2