〈動画あり〉450年の伝統引き継ぎ 上越市西横山小正月行事

 上越市西横山の小正月行事が14、15日に行われた。昨年は新型コロナウイルスと豪雪の影響で規模を縮小したが、今年は通常通り14日夜の鳥追い、15日の禊(みそぎ)、嫁祝い、焼き草集め、オーマラなど450年以上続く伝統の行事が行われた。

8人で声合わせ 五穀豊穣願う 鳥追い

 鳥追いは中学生以下の子どもたちが行っている。西横山に子どもがいないため、今年は谷浜小児童やNPO法人かみえちご山里ファン倶楽部スタッフの子どもら3歳から小学4年生まで8人が参加した。

みの帽子、深靴で歩く子どもたち。夜の西横山に鳥追い唄が響いた

 西横山の白山神社に集合し、みの帽子、深靴姿で鳥追い唄を唱えながら集落を回って桑取川に向かう。農作物を荒らす鳥を追い払って五穀豊穣(ほうじょう)を願うもの。今年は主催する西横山小正月行事保存会の和瀬田仙二会長が、開始前に子どもたちに鳥追いの目的やかつての状況などを説明した。

 和瀬田さんは「450年ということは(上杉謙信の跡目を争った)御館の乱の頃にはもうやっていた。服装などは変わっても鳥追い唄は変わらない。続けていかなければ」と思いを話した。

 子どもたちは神社を出発、太鼓に合わせて「こぅりゃどこの鳥追いだ だいろうどんの鳥追いだ」と唱えながら歩いた。桑取川に着いた後は、鳥が戻ってこないよう静かに神社に戻り、これを数回繰り返した。

 昨年に続いて親方役を務めた郷堀開君(谷浜小4年)は「昨年より人数が多くて活気があった。鳥追い唄で声を合わせるところが好き」と話した。

元気よく祝い唄 花嫁に小口文さん 嫁祝い

 15日午後には同集落内の古民家「丈兵衛」で、結婚後最初の正月を迎えた花嫁を祝い、子宝を願う行事「嫁祝い」が行われた。

 嫁祝いは2年ぶりの実施。今年の花嫁は昨年7月に結婚した小口文さん(30、上越市春日山町1)が務めた。夫の大輔さん(29)が、小正月行事に協力しているNPO法人かみえちご山里ファン倶楽部スタッフという縁で実現した。

花嫁の頭上でヌルデの太刀を打ち鳴らし、祝い唄で子宝を願う

 花嫁を祝う子ども役は、谷浜小の児童有志や同法人スタッフの子どもら約10人が担当。ヌルデの太刀を花嫁の頭上で打ち鳴らし、祝い唄を元気よく歌った。郷堀勇君(同校2年)は「久しぶりで楽しい。今年は学校のみんなでやれてうれしかった」と話した。

 佐賀県鳥栖市出身の文さんは「子どもたちの元気がよく、明るい行事だと思った。450年もの伝統の最先端に関われてすごい」と語った。大輔さんは「今年は仕事も家庭も節目の年。どちらも大事にしていきたい」と決意を新たにしていた。

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