ノーヒッター達成も試合に敗れた投手たち 公式サイトが特集

メジャーリーグではこれまで300回以上のノーヒッター(継投も含む)が達成されており、そのうち99%以上はノーヒッターを達成したチームが勝利している。言い換えれば、ノーヒッターを達成したにもかかわらず試合に敗れた投手やチームが存在するのだ。メジャーリーグ公式サイトのサラ・ラングス記者は、8イニングもしくは9イニングを無安打に抑えて試合を終えたにもかかわらず試合に敗れた投手とチームを紹介する特集記事を公開している。

初のケースは1964年4月23日のレッズ戦でノーヒッターを達成したケン・ジョンソン(コルト45’s=現アストロズ)だ。8回までレッズ打線を四球2つのみの無安打に抑えていたジョンソンだが、9回表一死から自らの悪送球で一死2塁のピンチを招き、二死3塁となったあとに二塁手のエラーで失点。味方打線はレッズ先発のジョー・ナックスホールの前に5安打完封を喫し、ジョンソンはノーヒッターを達成しながらも敗戦投手となった。1人の投手が9イニングを無安打に抑えて敗戦投手となったケースは、現在に至るまでこれが史上唯一である。

継投で9イニングを無安打に抑えて敗れたのは1967年4月30日のオリオールズだ。先発のスティーブ・バーバーは8回まで7四球、2死球を与えながらもタイガース打線を無安打に抑えていた。8回裏にルイス・アパリシオの犠飛で先制してもらったバーバーだが、9回表は2つの四球と犠打で一死2・3塁のピンチ。次打者を捕手へのファウルフライに打ち取ったものの、その次の打者に対する暴投で同点を許してしまった。さらにこの試合10個目の四球を与えてピンチを広げ、バーバーは降板。2番手ストゥ・ミラーが二死1・3塁から二塁手のエラーで勝ち越しを許し、オリオールズは2投手の継投でノーヒッターを達成したにもかかわらず1対2で敗れた。

1990年7月1日のアンディ・ホーキンス(ヤンキース)はホワイトソックス戦の8回裏二死走者なしから三塁手のエラーと連続四球で満塁のピンチを背負い、外野手の連続エラーでまさかの4失点。8回0安打4失点(自責点0)で敗戦投手となった。1992年4月12日のマット・ヤング(レッドソックス)はインディアンス戦の1回裏に一死3塁から遊撃手のエラーで先制を許し、3回裏には一死2・3塁から内野ゴロの間に2点目を献上。レッドソックス打線は9安打を放ちながらも1点しか奪えず、8回0安打2失点(自責点2)のヤングには黒星が記録された。

直近のケースは、2008年6月28日のドジャース戦でエンゼルスが記録している。先発のジェレッド・ウィーバーが5回裏の先頭打者に自らのエラーで出塁を許し、盗塁と捕手の悪送球で無死3塁となったあとに犠飛で失点。ウィーバーが6イニング、2番手ホゼ・アレドンドが2イニングを無失点に抑えたものの、チャド・ビリングスリー、ジョナサン・ブロクストン、斎藤隆というドジャースの継投から得点を奪えず、0対1で完封負けを喫した。

なお、ホーキンス、ヤング、そして最後のエンゼルスのケースは9回裏がない試合で8イニング無安打のため、ノーヒッターとして公式記録にカウントされない点には注意が必要だ。

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