北朝鮮ミサイル 真の狙いは中国か 朝鮮族が語るミサイルと中朝関係

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15日付の労働新聞3面に掲載されたミサイル発射写真(提供 コリアメディア)

「富士山を破壊してくれ」中国SNS

 14日、北朝鮮は今年3回目となるミサイル発射訓練を実行した。発射された2発のミサイルは、日本海に設定した目標へ命中したと北朝鮮は報じている。

 今回のミサイルは、昨年9月に実施した鉄道車両から発射する「鉄道機動ミサイル連隊」から発射したものとされる。

 発射場所は、中朝国境の新義州の東南16キロ・メートルほどの場所という。

 今回のミサイル発射は過去2回と異なり、中国メディアが大きく報じ、SNS微博(ウェイボー)にも国営中国中央テレビや官製インフルエンサーアカウントなど複数の投稿が確認できる。

 5日、11日のミサイル発射についても中国官製メディアでは報じていたが、SNSでは、スルー状態に近かったのとは対象的に今回のは扱いが大きい。

 コメント欄も開放されている投稿が多く、「東京に落ちなかったのが悔しい」「富士山を破壊してくれ」「米国へ打ち込め」「(北)朝鮮がんばれ」「EEZに落ちたから日本は何も言えない(笑)」

 と日本批判が占めている。北朝鮮へ否定的なコメントは確認できない。多くの日本人同様に中国人も「北朝鮮が日本をターゲットにミサイル発射している」と思っていることを感じさせる。

中朝貿易を再開させないのは実は中国?

 その一方で、まったく違う見解を明かすのは、遼寧省瀋陽在住の朝鮮族実業家だ。

 「朝鮮はミサイルを日本海へ打ち込んでいるので、『朝鮮の狙いは日本』と多くの中国人は思っています。日本人もそうですか?私は、朝鮮が行っているミサイル発射は中国政府へ向けたアピールだと考えています。核実験もそうでしょう」

 一般的には、北朝鮮の一連のミサイル発射訓練は、米国を中心とした国際社会への軍事力の誇示だとされている。

 しかし、北朝鮮とのビジネスも手掛ける朝鮮族実業家は、米国向けは表向きで、本当の狙いは、中国政府への要求であり、アピールでもあると語る。

 「中朝貿易も朝鮮側が新型コロナウイルス流入を恐れて防疫を強化していると朝鮮が原因のように報じられていますが、実際に貿易を止めているのは、中国側だと思いますね。それを朝鮮側が止めているかのように情報を発信して、中国人だけでなく、世界中の人たちが、そう思っているのではないでしょうか」(同)

国営や中国共産党系の官製アカウントでのウェイボー投稿が確認できる

北京も狙えると中国政府へのミサイルアピール

 「(ミサイル発射は)色々な理由をつけて貿易を再開させない中国へのいらだちだったのではないですかね。特に14日は、新義州近くから打っています。北京まで直線距離で600キロくらいの場所ですよ。十分射程圏内です。『その気になれば、いつでも北京へ打ち込めるぞ』というメッセージなんだと思います」(同)

 氏の話が正しいのかは判断できない。しかし、事実、昨日から2年間近くも停止していた中朝の国際列車が動き出している。

 14日の新義州からのミサイルアピールが効いたのだろうか。

 中国政府が3回目のミサイル発射だけを特に大きくSNSで拡散せるのは、北朝鮮が狙っているのは、日本であり、在日米軍であるという中国人の世論形成のためなのかもしれない。

 間違っても「実は、中国を狙ったのかも…」などうわさになるのは、中国政府としては避けたいのだろう。