【都道府県対抗女子駅伝】神奈川代表 がんで急逝の名将に捧げた力走、つないだ志

前々回まで県総監督として指揮を執っていた加藤さん(前列中央)=2019年10月の茨城国体から(神奈川陸上競技協会提供)

 16日に京都市で開かれた第40回全国都道府県対抗女子駅伝。昨年の中止を経て神奈川代表がつないだたすきには、今は亡き名将への思いが込められていた。前総監督で、多くの選手、指導者に慕われながらも、2020年12月にがんで急逝した加藤智明さん(享年57)。神奈川を一つに─。常々、そう語り掛けていた指揮官に捧(ささ)げる力走だった。

 「加藤先生にいい報告をしたかった」。主将の4区森田香織(パナソニック)はレース後、秘めた思いを吐露した。区間3位の快走で支えたが、結果は9位。3年ぶりの入賞にはわずか7秒届かなかった。

 競技場では黒いサングラスがトレードマーク。でも、眼鏡の奥の優しい瞳が印象に残る。

 「お父さんみたいな存在」と6区の伊藤南美(橘高)。横浜緑が丘中時代に都道府県駅伝で教えを受け、進学後も折に触れて励まされてきた。「必ずインターハイに出られるよ」。その言葉を胸に、県を代表するランナーへ飛躍を遂げた。

 女子だけではない。中止になったものの、男子では東京五輪代表の松枝博輝(富士通)が初めて神奈川からの出場を決めていた。「加藤先生のために来た。中学時代から強化合宿などでお世話になっていたので…」

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