3年連続2桁本塁打も打率は.227に終わった昨季の甲斐
ソフトバンクの甲斐拓也捕手が16日、地元の大分市内で行っている自主トレを公開した。V奪還を目指す今季に向けて、最低ラインに打率.270を掲げ、ヤクルト・嶋基宏捕手の助言も得て打力アップに力を注いでいる。
甲斐と嶋、そして後輩の海野隆司捕手、楽天の石原彪捕手、江川侑斗捕手、巨人の山瀬慎之助捕手、DeNAの東妻純平捕手、広島の石原貴規捕手と捕手8人で行っている合同自主トレ。午前中はみっちりと強化メニューやスローイング練習で汗を流すと、昼休憩を経て始まった打撃練習ではバットを必死に振り続けた。ティー打撃やフリー打撃など、延々と2時間半、ボールを打ち返した。
「去年は悔しかったですし、今のままではダメだと思ったシーズン。もっと成長していきたいという中でのこの自主トレ」と語る甲斐にとって、打力向上は課題の1つ。昨季は自身初の全試合出場、3年連続2桁本塁打を達成したものの、打率は.227止まり。142三振はリーグワーストの多さだった。
この自主トレでは徹底した右打ちに取り組んでいる。ボールをしっかりと呼び込み、バットを内側から出してライト方向に弾き返すことを繰り返して練習した。「去年の終盤に少しいい感じがあって、継続して秋のキャンプでもやってきた。嶋さんは長く1軍でやっていて、数字を残している。ああいう打撃ができるようになりたい」。2010年に打率.315をマークした大先輩のようなスタイルを理想に掲げた。
右打ちの効果は「ボールをしっかり呼び込めるし、ボール球を振らなくなる」
中でも目を引いたのが、投げられたスローボールを打ち返す練習だ。これも嶋のアドバイスで取り入れたという練習法で甲斐は「しっかりとタイミングを合わせて、内からバットを出す練習になる。嶋さんも大事だと言っていた」。甲斐だけでなく、この自主トレに参加しているメンバー全員が、熱心にバットを振り込んだ。
「それだけボールをしっかり呼び込めるし、ボール球を振らなくなる。シーズンの後半が結構そういう状態だった。ボール球を振らずに空振りが少なくなる。三振を減らさないといけないですし、四球も増やしたい。そこが1つテーマなのかな、と。三振を減らして出塁率を上げる、と。そういう方向でやることでボールを長く呼び込める。自分の中でファウルを打つこと、逃げることもできる。僕はキャッチャーなので、バッテリーが考えるところもあると思うので、そういうバッターになりたい。キャッチャー目線で考えても、それはイヤだと思うので」
甲斐の打力がアップすれば、打線の厚みは増し、V奪還へと近づくことは明らか。藤本博史監督は「2番・甲斐」の構想も持っており、かかる期待は大きい。「今までの自分を超えること。そこが1番のテーマ」と語る甲斐の打棒が花開くシーズンとなるか。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)