校則見直し 教員と議論 多様性尊重、自分たちの手で 足利清風高

校則について、大河原校長(左端)と意見を交わす生徒たち=先月下旬、足利清風高

 時代に合わなくなった校則を、生徒が教員と議論しながら見直す取り組みが足利清風高(栃木県足利市)で進められている。髪形や服装など細かく定められた規定を一つ一つ検証。全校生徒にアンケートを実施したり、客観的な視点を取り入れるため企業訪問をしたりと活発に活動している。個性や心の多様性を尊重し、学校生活を送りたい-。生徒たちはそんな思いで向き合っている。

 大きな模造紙を囲んで座った生徒と教員が、議論しながら意見を書き連ねていく。「(髪形で)お団子OKにしてほしい」「男子のスカートは何でだめなの」。先月下旬の放課後。同校の大河原啓守(おおかわらひろし)校長も参加して話し合いが行われた。

 場を設けたのは「ルールメイキング委員会」。1、2年生の8人が中心メンバーで、この日はできるだけ多くの意見を上げてもらうため、委員以外の生徒も含め約20人が集まった。取り組みは昨年4月から始め、本年度内に校則の改定案を学校側へ提出する予定だ。

 見直しを提案したのは、生徒指導部長の小滝智美(こたきともみ)主幹教諭(50)だった。「校則で生徒を抑え付けているのではないか」との違和感が契機となり、生徒主体の校則見直しを支援している認定NPO法人カタリバ(東京都)のプロジェクトに応募した。

 「疑問に思うことはあっても、決まりだから仕方ないと感じていた」。委員の1年川俣彩花(かわまたあやか)さん(15)は校則への思いを、そう振り返る。

 頭髪の色が生まれつきのものか確認するための「地毛申請書」の提出や、下着の色の指定など、同校の校則は何十項目にも上る。

 委員たちは、全校生徒に校則に関するアンケートを実施。「下着の色」については約3分の1が不満を寄せたことなどから、小滝教諭が人権上の問題もあるとして学校に働き掛け、いち早く廃止が決まった。2年の吉川桃葉(よしかわももは)さん(17)は「一人でも多くの生徒が校則について考えるきっかけになれば」と力を込める。

 県内外の銀行やメーカーなどを訪れ、自分たちの考えに対する企業の受け止めも聞いた。禁止されているツーブロックや前髪の長さの規定、性別によって決められた制服の在り方などについて議論を詰めている。

 小滝教諭は「生徒が積極的に考えを伝えてくれるようになったことが何よりうれしい。ルールを変えることに勇気はいるが、主体性を育てる学校づくりにつなげたい」と意欲を見せた。

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