前田敦子「やりたいことが全部出来ました」 ショートフィルム「理解される体力」で初監督

青柳翔、玉城ティナ、千葉雄大、永山瑛太、前田敦子がショートフィルムを監督する、2月6日にWOWOWで放送・配信の「アクターズ・ショート・フィルム2」。前田敦子が初監督を務めた「理解される体力」の、ポスタービジュアルや場面写真が公開された。また、前田敦子、ダブル主演を務めた柳英里紗と三浦貴大のインタビューが公開された。

「理解される体力」は、小さな喫茶店の店中に響き渡る大声で泣くキエ(柳英里紗)と、やさしくそれを受け止めるユミ(三浦貴大)の物語。キエはむさぼるように巨大なパフェを食べ、涙を流して子どもみたいに大声で泣いている。どうやら旦那に浮気されたらしいキエは、とどまることのない怒りと涙と食欲の激流に押し流されている。喫茶店の店長(野間口徹)は、キエが大声で泣いている理由を想像する。

公開されたポスタービジュアルは、舞台となる喫茶店のレトロな雰囲気のなか、かわいい衣装を着たキエ(柳英里紗)とユミ(三浦貴大)の、クールな表情でポーズを決める姿が切り取られている。場面写真では、泣きながらも巨大なパフェをほおばるキエの姿などが捉えられている。

今回の監督業初挑戦について前田は「私の発想を脚本の根本宗子さん、そしてキャスト・スタッフの皆さんの力を借りて形にしていただき、やりたいことが全部出来ました」と振り返る。性別が異なるユミという役を演じている三浦は、「意識せずに当たり前のようにキエの古くからの友人としてそこにいる、というなんとも難解で面白みの詰まった役でした」と語っている。

インタビューの全文は以下の通り。

■監督:前田敦子 インタビュー

Q:初監督作となる「理解される体力」が完成を迎えますが、今の率直なお気持ちを教えてください。

全体を通してすごく楽しかったです。監督業は全くの素人なので、最初は何のアイデアもないままこの仕事を受けましたが、キャスト・スタッフの皆様に助けていただき形にすることが出来ました。監督らしいことはそんなにしていないような気もします(笑)。でも、やりたいことは全て出来たと思うので、とてもすっきりした気持ちです。

Q:本作ではふたりの友情を描いていますが、このような題材を作品に選んだ理由はございますか。また、どのようなことから着想を得て物語に落とし込んでいったのでしょうか。

親友の柳英里紗を主演にしたいと思っていたので、普段の彼女の魅力を存分に発揮できるような題材にしたいと考えてい ました。あとは、この作品を観た方を元気づけられるような作品にしたくて、ハッピーエンドにこだわりましたね。以前 から脚本家の根本宗子さんの舞台や世界観が好きでお仕事をしてみたいと思っていたので、この機会に是非と思い脚本をオファーしました。根本さんと打ち合わせをしたときは作品についてのお話より、女子トーク全開で恋愛話なども赤裸々 に語り合った記憶があります(笑)。その時の要素も作品内に上手く盛り込まれていて、書いていただいた脚本を読んで 思わず唸りました。

Q:監督として臨む撮影と役者として臨む撮影の違いや、監督を務めて感じたこと・新たな発見などがあればお聞かせください。

撮影前の準備段階を初めて知ることができました。役者のときは全てが完璧に整った状態で現場に入るので、事前にこんなに準備することが沢山あるなんて知らなかったです。とても新鮮でしたね。

Q:特に注目していただきたいシーンがあれば、その理由とともにお教えください。

キエが何度もあくびをするシーンにこだわりました。難しい設定のシーンなので、英里紗がどう演じるか悩んでいたので すが、彼女のなかで腑に落ちて、とてもいいシーンになりました。ストレスであくびが出るってないですよね(笑)。貴 大くんはとても自然体で演じてくれたのですが、作品を観たらユミみたいな友達がいたらいいな、ときっと思っていただ けると思います。それくらい魅力的にユミという難役を見事に演じていただきました。

Q:本作に込めた思いや視聴者へのメッセージをお願い致します。

英里紗と貴大くん、野間口さんのいいところを存分に活かせた作品に仕上がりました。3人の意外な一面を描けたのかなと思います。一緒に笑ってくれたら一番幸せですし、「前田敦子ってこういう作品を撮るんだ」という意外性を楽しんでくれたら嬉しいです。

■主演:柳英里紗 インタビュー ※撮影時のインタビュー

Q:今回柳さんはキエという役柄を演じられましたが、撮影を終えていかがでしょうか。演じてみて難しかった点や、注目してほしい点がありましたら教えてください。

後遺症があります。パフェをみるたび「キエとユミ」のセリフが頭の中で始まります。前田さんからの電話で「えりさー
!一字一句でワンカットで撮ると思う!」から自主稽古を毎日しました。染み付いています。この作品のみどころ、ユミを男性が演じることは提案させていただきました。
『女装』ではなく『女性』としてそこに存在するユミは日本の作品のなかでもかなり新しく、スタンダードになったらいいなと思います。その提案を取り入れる前田監督はとても魅力的で日本映画界に必要な人材だと感じます。

Q:前田さんとは普段から親交もありますが、監督と役者という関係で臨んだ今回の現場はいかがでしたでしょうか。

彼女自身、最初で最後の監督と言っておりその想いが強く『妥協なし監督』だったと思います。
役者の姿を外見からも中身からも徹底的に見届けて、髪の毛や洋服の動きまでみている演出には圧倒されました。作品にとって大事なことだなと改めて考えさせられましたし、しっかり見ていてくれてることへの愛情から
期待に応えたいという気持ちは強くなりました。ただ時間が足りなかったのが悔しいところです。

Q:最後に視聴者へのメッセージをお願い致します。
「キエとユミ」は目だけの情報だと活発で勢いがありますが、耳を傾け、じっくり眺めると繊細な作品となってます。
根本宗子さんの匠な脚本と前田敦子監督のコラボレーションと三浦貴大くんの女性としての所在の秀逸さを楽しんでいただければと思います。

■主演:三浦貴大 インタビュー ※撮影時のインタビュー

Q:今回三浦様はユミという役柄を演じられましたが、撮影を終えていかがでしょうか。演じてみて難しかった点や、注目してほしい点がありましたら教えてください。

まずユミという役に関しては、性別が違うのでそこがハードルではありました。ただ今回は特にそれを意識せずに当たり前のようにキエの古くからの友人としてそこにいる、というなんとも難解で面白みの詰まった役でした。

Q:前田監督とは共演作もございますが、監督と役者という関係で臨んだ今回の現場はいかがでしたでしょうか。

前田監督とは今まで俳優同士として仕事をしてきましたが、監督と俳優という関係性でどのような演出をしてくれるのか非常に楽しみでした。現場では監督として、みんなを引っ張ってくれて、自分のやりたいことを貫いてくれたので、俳優 として信頼して仕事をすることが出来ました。前田監督の思いとセンスの詰まった作品になったかと思います。

Q:撮影で特に印象的だったエピソードやシーンなどありましたら、教えてください。

監督と柳さんとは、付き合いも長く良き友人でもあるので、かなり自由にやらせてもらった部分もあります。
台本にある部分、ない部分、一緒に作り上げましたので、細かい動きや台詞回しにも注目していただければと思います。

Q:最後に視聴者へのメッセージをお願い致します。

不思議な世界に迷い込んだかのような感覚と、心地の良い違和感との調和をこの作品で是非お楽しみください。

『アクターズ・ショート・フィルム2』
2022年2月6日(日)午後5:00 WOWOWで放送・配信

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