月の支出は13万!節約が苦にならない27歳独身男性「45歳で退職するにはいくら必要?」

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、27歳、会社員の独身男性。節約が苦ではなく、毎月13万程度の支出で暮らす相談者。最低限の生活でいいので、45歳くらいで退職してアルバイトなどで暮らしたいと言いますが、どのくらいお金が必要でしょうか? FPの飯田道子氏がお答えします。


現在27歳、独身、結婚の予定なし。老後に備えて貯蓄・投資をしているが、最終的にどの程度お金が必要なのかわからない。

仕事がきついため、可能であれば45歳程度で現職を退職し、アルバイト等でまかないたい。節約等は苦ではないため、最低限の生活で可。

・相談者:男性、27歳、公務員、独身
・住居の形態:賃貸(東京都・一人暮らし)
・毎月の世帯の手取り金額:18万円
・年間の世帯の手取りボーナス額:80万円
・毎月の世帯の支出の目安:13万円

【毎月の支出の内訳】
・住居費:4万8,000円
・食費:2万円
・水道光熱費:1万5,000円
・通信費:5,000円
・お小遣い:5,000円

【資産状況】
・毎月の貯蓄額:3万円
・ボーナスからの年間貯蓄額:80万円
・現在の貯金総額(投資分は含まない):390万円
・現在の投資総額:870万円
・現在の負債総額:借金、奨学金等一切なし

飯田:今回は、老後に備えて貯蓄や投資を行っている、27歳の相談者様です。今のところ結婚の予定はなく、仕事がきついため、45歳でアーリーリタイアメントを考えているとのこと。その後はアルバイト等でまかなうことを考えています。最低限の生活で良いということで、いったい、いくらくらいお金が必要になるのか知りたいという相談です。

45歳までにいくら貯められる?

相談者様が希望する通りの生活の場合、もっとも貯められる時期は、今から45歳までの18年間です。節約は苦にはならないとのことですので、今のままの生活を続けた場合は、毎月の貯蓄は3万円ですので、18年間(3万円×12カ月×18年)では、648万円。ボーナス分としては80万円を18年間(80万円×18年)で貯めることができますので、1,440万円となります。

今現在の貯金総額は390万円、投資総額は870万円ですので、上記の18年で貯めた預貯金とあわせると、合計3,348万円となります。

毎月の収入と支出で5万円の開きがありますが、もし、これが投資に充当されている場合には、単純計算で1,080万円、さらに総額が増えることになります。ただ、支出が不明瞭なため、参考に記しておきます。

こんなにかかる!国民年金と健康保険料の総額は?

45歳からはアルバイト等で収入を得ることをお考えのようですね。それ自体は悪くはないのですが、今のように社会保険に加入できない場合には、個人のみで負担することになりますので、想像以上の支出があると考えられます。

具体的には、国民年金保険料と国民健康保険料があります。

国民年金保険料は、毎月1万6,610円です。60歳まで支払いが続きますので、60歳までの15年間の支出額は合計で298万9,800円です。

国民健康保険料は年間10回払いとなっており、1.2カ月分で計算し直し請求金額が決まっています。例として、令和3年の東京都新宿区の国民健康保険料の場合で確認してみましょう。最低金額は、給与所得が98万円の場合で、介護保険料を含めて1カ月あたり5,750円。年間6万9,000円です。64歳までの19年間の支出は、131万1,000円となります。

65歳から年金を受給し始めた場合、介護の必要が無い場合の国民年金保険料は、年金収入が150万円までは1カ月あたり4,333円。年間5万1,996円です。その場合の65歳から95歳までの30年間の保険料は、155万9,880円となります。

まとめると45歳から95歳までは社会保険料として、
・国民年金保険料 298万9,800円
・国民健康保険料 131万1,000円(~64歳まで)
・国民健康保険料 155万9,880円(65歳~95歳まで)

合計で586万680円の支出が見込まれます。

45歳までに貯まる預貯金額は3,348万円ですので、社会保険料の支出分を差し引いた後の手元に残る金額は2,761万9,320円です。

45歳からの働き方によって、支出は大きく変わってくる

45歳から社会保険の加入条件を満たしてアルバイト等で働く場合は、年金保険料および国民健康保険は労使折半となるため、個人の負担は軽くなってきます。

あくまでも相談者様次第なのですが、(1)退職直後は社会保険の加入条件を満たして60歳まで働く。(2)退職直後は数年間働き、その後、徐々に働き方を変える。その後、働く時間を減らして、社会保険料は全額個人負担に移行するというような方法も考えられます。

まだ、45歳までは時間がありますので、じっくりと考えてみてください。

毎月の収入はいくら確保すればいい?

現在の支出もしっかりコントロールされており、見直しをする必要はないのですが、毎月の収入としては手取りで10万円を確保できれば、年金受給前までは生活は回る計算です。

65歳から年金は受給できますが、その時いくら受給できるのか、今の年齢では予測しにくい状況です。たとえば毎月3万円預貯金から切り崩したときには、30年間で1,080万円必要になります。この場合、45歳までの見込の預貯金額から社会保険料と預貯金を切り崩した後でも、1,000円弱が手元に残っていることになります。

ただ、社会保険料や年金受給金額は定期的に見直しをされるため、お金の流れについては見直しが必要になります。

また、現在、賃貸に住まわれていますが、年齢を重ねた場合やアルバイト等で働いている場合は、新たな住まいを見つけにくいことが考えられます。持ち家を検討する必要はありませんが、対策は考えておくべきでしょう。

相談者様の場合、まだお若く、社会情勢の変化や現在の仕事の働き方そのものが変わることも考えられます。シングルで過ごすなら、フレキシブルに対応できる状態をキープできると良いですね。そうすることで、選択肢はさらに広がっていきますよ。

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