環境・人権・ガバナンスへの配慮なくして企業の成長なし…「ESG投資」の最新事情

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「フラトピ!」のコーナーでは、“ESG投資の最新事情”についてプロが解説しました。

◆今や投資の大きな対象となる"ESG”とは?

今回、「ESG投資の最新事情」について解説するのは投資の専門家、ベンチャー投資ファンド「THE CREATIVE FUND」代表パートナーでNewsPicksプロピッカーの小池藍さん。

まずは「ESG投資」の解説から。そもそも"ESG”とは「Environment(環境)」、「Social(社会)」、「Governance(ガバナンス)」の頭文字からなるもので、「このESGに配慮した企業へ投資を行うことをESG投資」と説明します。

いわば、環境や社会に配慮し、ガバナンスに気を払わない企業でないと投資されない時代。小池さんも「ESG評価の高い企業は、事業の社会的意義や成長持続性などが期待されるので、非常に投資が向いているような状況」と言います。

また、ESG投資は一般的に環境面に注目が集まりがちですが、人権・ダイバーシティの問題にも重きが置かれています。スタートアップの支援なども行う法律事務所ZeLoの弁護士・由井恒輝さんも「最近は設立段階からそこ(人権やダイバーシティ)を意識している会社が増えている」と言い、「相談したいという声が増えていて、すごく進んでいるのを感じる」と実感を語ります。

かたや、生理への理解を広げる団体「#みんなの生理」共同代表の谷口歩実さんは「ESG投資に取り組むことが重要という社会的合意を作れたことが大きなこと。さまざまな意思表示の方法があり、とても良いと思う」と感想を述べます。

◆現在はESGも企業価値を計るものさしに

現状では、どの程度投資されているのか。世界的に見るとやはりヨーロッパやアメリカの規模感は桁違いですが、小池さんが「善戦していると思う」と語る日本の投資額は約320兆円(2020年)。その上で「ESGは、日本企業がこれから成長するためのキーとなる要素」と主張します。

投資先に関しては、さまざまな企業がESGを念頭に置いた活動をしているなか、注目を集めているのは最先端のエネルギー関連企業。ただ、企業側も製品そのものや環境に配慮すれば良いという問題ではなく、例えば、火力発電を使っていると投資されないなど「どういったところから材料を集め、どういった工程、環境で作られているのかまで見られている」と小池さん。

そうした状況のなか、日本企業はさまざまな取り組みを行っています。例えば、ミズノ、三陽商会、ワールドなどは人権問題を考慮し、新疆ウイグル自治区で生産された綿花の使用を中断。丸井グループは幅広いサイズの製品(婦人服や靴など)を展開し、全てのサイズを網羅することで「お客さまのダイバーシティ」を実現。さらには顧客だけでなく社員も大事にするという意味で1人あたりの年間残業時間を42時間までとし、従業員の退職率を低下させるなど、さまざまな取り組みを敢行。

ただ、そうした取り組みをいかに評価するのか。それは非常に困難でしたが、最近では指標も登場。小池さんは「投資は企業の価値を計算し、その裏側にあるのは事業成績、売り上げ、利益などが中心だったが、今はESGの要素をどう評価するのかが、大きな議論の的になっている」と言います。

谷口さんは「そうした取り組みは、正直当たり前」と率直な印象を語りつつ、「今後はわかりやすいもの、投資家を招くためのものだけでなく、細かいところまで実践されているのか市民側がしっかり見ていく必要がある」と注意を促します。

一方、由井さんは「数字では評価しきれない部分ではあるものの、社会全体でESGを徹底することでちゃんとしていないところは取引しないとなると、事業の数字も落ちてくるので、最終的には数字での評価が可能になる」と推察。ただ、そのためにはESGにどう向き合っているのか「目に見える形で指標を決めておかないといけない」と指摘。「やりすぎてもコストがかかってしまうので、コンセンサスを取りながらやっていくべき」と意見します。

企業側からすると、ESGを推進したくともそこまでやる余力がないという意見もあります。そのあたりについて、小池さんは「短期的に見ると売り上げが上がらないなどそうしたことに目線がいってしまうが、中長期の視点で考えると(ESGに取り組むことで)世界の投資家の目が向く。資金を調達するという意味でも、投資家が投資をするきっかけになるので、ESGに取り組むことは経済合理性を考えるとプラス」と明言。

日本ではまだまだ進んでいないのが現状ですが、小池さんはESG投資が今後より拡大していく可能性が大きいため、「それこそZ世代には当たり前という感覚がすごく大事。その感覚に企業も取り残されないということがポイント」と話していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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