社長は「西鉄時代からのファン」 ベルーナが西武本拠地の命名権を取得した理由

西武は17日に会見を開き、本拠地の名称を「ベルーナドーム」に変更すると発表【写真:球団提供】

「メットライフドーム」は3月から「ベルーナドーム」に

西武は17日、埼玉県所沢市内で記者会見を開き、総合通販大手の「株式会社ベルーナ」(本社・埼玉県上尾市)が2027年2月末まで5年間の本拠地ネーミングライツ(施設命名権)を取得、3月1日から球場の名称を「ベルーナドーム」に変更すると発表した。同社は2015年から、西武の選手が試合中に着用するヘルメットに会社ロゴマークを掲出する「ヘルメットスポンサー」を務めており、今季も継続する。なぜ、改めて本拠地の命名権取得に手を上げたのだろうか。

【実際の画像を見る】西武が発表した「ベルーナドーム」のイメージ写真 スコアボードの上に新名称がドーンと掲げられる

ベルーナの安野清社長は「私は西鉄時代からのライオンズファン。2010年から埼玉西武ライオンズ彩の国後援会の理事長も務めさせていただいています」と語り、長期にわたるパートナーシップと“獅子愛”を強調した。その上で「(命名権獲得には)会社の認知度、知名度アップはもちろん、社員の採用にもプラスの効果があると考えています。(新入社員の)お父さん、お母さんが安心するのではないか」と語った。

球場名はテレビ、ラジオ、新聞、ネットのニュースで紹介される機会が多く、宣伝効果は飛躍的に上がる。とりわけベルーナはネット、カタログ通販を中心に事業を展開しているだけに、知名度アップは売り上げに直接好影響を及ぼすと考えられる。

一方、会見に同席した安野雄一朗専務は質疑応答で「ネーミングライツ料は機密扱いで、差し控えさせていただきたい」とした。ちなみに、ロッテの本拠地球場が2016年12月1日から「ZOZOマリンスタジアム」となった時には、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社スタートトゥデイ(現・株式会社ZOZO)が2026年11月末まで10年間のネーミングライツを獲得し、所有者の千葉市と指定管理者の千葉ロッテマリーンズに年間3億1000万円(両者に1億5500万円ずつ)、総額31億円を支払う契約を結んだ。決して安い投資でないことも確かだ。

「メラド」時代の5年間では優勝2回

西武の本拠地球場の名称は、西武ライオンズ球場、西武ドーム、インボイスSEIBUドーム、グッドウィルドーム、いったん西武ドームに戻った後、西武プリンスドームへと変遷してきた。2017年3月からはメットライフ生命保険株式会社が命名権を取得し「メットライフドーム」へ。愛着を込めて「メラド」と略して呼ぶファンも増えていたが、2月28日をもって5年契約が満了する。

ネーミングライツの普及で、たとえば楽天の本拠地球場もフルキャストスタジアム宮城→日本製紙クリネックススタジアム宮城→楽天Koboスタジアム宮城→Koboパーク宮城→楽天生命パーク宮城と変遷。一般的に球場の改称のテンポは速くなっている。

ベルーナの安野社長は「メットライフドーム時代の5年間で、チームは2018年と19年にリーグ連覇するなど素晴らしい成績を収めた。私どもも、これからの5年間で力強いチームをつくっていけるようにサポートしていきたい」と熱く語った。ファンとしては5年にとどまらず、長~いお付き合いを期待したいところ。さて、なんと略して呼ぼうか?(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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