同棲を始める20代カップル。2人で手取り月40万なら家賃や生活費はどのくらい?

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、20代のカップル。近々同棲を計画している相談者。彼は家にこだわりたいといいますが、彼女は家賃の負担や生活費を心配しています。適正価格はどのくらいでしょうか? FPの氏家祥美氏がお答えします。


28歳と26歳のカップルです。2人で手取り40万円くらいです。近々同棲を考えていますが、彼がいい家に住みたいという希望が強く、14万円くらいの家に住みたがっています。生活費(お互いの趣味などの出費含む)は試算としては16万くらいになりそうです。家賃+生活費で30万円くらいなので、黒字ではありますが、職場の周りの方からは「1人分の給料で2人の生活を賄えるようにしておくべき」と言われます。

今後彼は家を購入したいとも考えています。私は特にこだわりはありませんが……。月々どのくらいで生活すればよいのでしょうか?

【相談者プロフィール】

・相談者:女性、26歳、公務員

・パートナー:28歳

・住居の形態:賃貸(関西地方)

・毎月の世帯の手取り金額:40万円(20万円+20万円)

・年間の世帯の手取りボーナス額:85万円

・毎月の世帯の支出の目安:30万円(同棲後の想定額)

【毎月の支出の内訳】(同棲後の想定額)

・住居費:14万円

・食費:6万円

・水道光熱費:1万円

・通信費:8,000円

・お小遣い:6万円

氏家:今回のご相談者さんは、これからパートナーと同棲を検討中の20代女性です。二人で暮らしを始めるにあたり、適正な家賃や生活費の目安について、ご質問をいただいています。早速、一緒に考えていきましょう。

二人暮らしの適正家賃の目安は?

まずは、「彼がいい家に住みたいという希望が強く、14万円くらいの家に住みたがっています」という部分から。二人で始める新生活が、新しくてきれいで、立地が良くて広さもあって……という住まいだと、気持ちも上がりますよね。

ただし、家賃は家計における大きな固定費となります。一度引越しをすると、礼金や敷金、引っ越し代などまとまった費用が必要になるため、住み替えもかんたんではありません。引越し前に、適正な家賃を考えて、その範囲内で自分たちの優先順位に合った物件を選んでいく必要があります。

では、家賃をどのように考えればいいのでしょうか。まず、家計に占める固定費(家賃、水道光熱費、保険料、通信費など)の合計が家計の50%を超えてしまうと、貯蓄がしにくくなります。「食費やレジャー費などを頑張って節約しているのにお金が貯まらない」という人は、固定費が過剰な傾向にあります。

固定費を手取り月収の50%に抑えるために、家賃はその半分の「手取り月収の25%以内」と考えましょう。お二人の手取り月収は合計40万円ということですから、25%は10万円になります。10万円を一つの基準に、新居を選んでみませんか?

同棲生活のその先を考える

家賃や生活費をどのように設定するのかは、同棲をどのようにとらえているのかによって異なります。単に、「別々に暮らすよりも、二人一緒に暮らした方がいい暮らしができるよね」というのがお互いの目的であれば、家賃14万円の家を選ぶのもありでしょう。二人の収入40万円から家賃14万円を支払い、そこから生活費を出しても黒字になるのであれば、問題ありません。

一方で、同棲生活のその先に、結婚生活や住宅購入などを含めて視野に入れるのであれば話は異なります。家賃や生活費を抑えることで、結婚式の費用がためられる、将来的にマイホームを購入するときの頭金がためられるのですから、ここで無駄使いをしている場合ではありません。

それから、同棲生活を始める際には、礼金や敷金、引っ越し代、家具家電の購入など、大きな支出を伴います。つまり、最初の段階でお互いの貯蓄をある程度取り崩すことになります。それを回収することも考えると、毎月の貯蓄は多いに越したことはありません。

20代二人暮らしの家計配分の目安

ご相談者さんに対して、私がお勧めする家計配分はこちらです。

冒頭にお伝えした通り、ここでは家賃を手取り月収の25%の10万円以下にしています。家賃のほかに水道光熱費やネット回線が必要ですが、こちらは2万円をめどに考えます。一人暮らしよりも家が広くなり、人数が増えるので、現在よりはかかると思ってください。

お小遣いは5万円×2人で合計10万円としています。現在は一人当たり3万円ということですが、この5万円にはそれぞれの洋服代や美容院代、保険料やスマホ代、ランチ代やカフェ代など個人的な支出をすべて含んでいると思ってください。新生活は何かとこまごまとしたものを購入しますから、その他費用として2万円を確保しています。

このようにすると、10万円の貯蓄が可能になります。12か月で120万円になります。先取貯蓄の仕組みを作って確実に貯めていきましょう。将来の結婚式や住宅購入費用として蓄えていただきたい部分です。

新生活のなかでは、家具や家電の購入や、二人で旅行にいくなど、まとまった支出が生じることもあるでしょう。ボーナスが80万円あるということなので、ボーナスの中からこうした支出を出すことになります。ボーナスも半分くらいは楽しみのために使い、半分は貯蓄として残しておくようにしたいものです。

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