駅に平和公園がある意味【木造駅舎コレクション】072

※2021年4月撮影

トップ画像は、肥薩線大隅横川駅。1903年(明治36年)に建造された木造駅舎です。何とも言えない風格があります。郵便ポストもわざわざ丸い赤形ポストに換えられています。

何度も肥薩線に乗って大隅横川駅には停車していますが、ホームに降りたことがありませんでした。初めて駅前に立っています。飲料自動販売機を駅舎から離して設置するなど細部にも気が配られています。

※2021年4月撮影

この場所で陽光や風雨に耐えて118年間、肥薩線利用者の笑顔や涙を黙々と見守ってきた姿。これが木造駅舎の魅力です。

※2021年4月撮影

陸軍の特攻基地であった知覧は有名ですが、大隅横川駅のある霧島市にも国分海軍航空隊があり第一国分基地から210名、溝辺の国分第二基地からは217名の若者が特別攻撃に飛び立ちました。彼等も大隅横川駅を通っていったのでしょうか。

駅舎の北西側は「平和公園」が整備されています。427人も若者が特攻に飛び立ったことを思うと平和公園のありがたさを感じます。

※2021年4月撮影

公園の四阿には「国登録有形文化財記念碑」があります。「経済産業省 平成19年度 近代化産業遺産」と「登録有形文化財」の銘板。

※2021年4月撮影

右の説明板には以下のように記されています。

***

記念碑について

この記念碑は 百年の木造の駅舎にちなんで霧島市横川町の大谷市有林で育てた約百年の杉の木を用いて造られています。鹿児島県では「森林環境の保全」と「森林をすべての県民で守り育てる意識の醸成」を目的とした「鹿児島県森林環境税」を活用して「木のあふれる街づくり事業」で設置しました。

***

・・・駅舎を見に行きましょう。

駅舎の前に、お雛様なのかな、編んだ藁で囲まれた花壇が並べて置かれています。

※2021年4月撮影

木製の駅名看板が良いですね。出入口の右上には建物財産標があります。

※2021年4月撮影

駅舎の内部もとてもキレイに整頓されています。アップライトピアノがありますね。小学校の音楽室を思い出して懐かしいです。

※2021年4月撮影

天井が高い! 電灯器具もクラシックでカッコイイです。しかし駅が開業した明治時代に電気は駅にまで普及していたのかな。たぶんランプが人々を照らしていたのでしょう。古い駅には稀に明治時代の煉瓦造り「ランプ小屋」が残っています。

※2021年4月撮影

近距離きっぷ運賃表です。肥薩線吉松駅~隼人駅間は1時間に1本程度運行されています。

※2021年4月撮影

次回も大隅横川駅です。

余計なお世話ですが、ネット上には多くの大隅横川駅の記事などがあります。個人の発信はその方の考え方なので何も申しませんが、公共などのページでは写真撮影の年月日などを記載していただけると大変ありがたいです。大隅横川駅は時期によってかなり見え方が変化しているのです。

(写真・文/住田至朗)

※木造駅舎などJR九州さんの許可をいただいて撮影しています。

※鉄道撮影は鉄道会社、鉄道利用者、関係者などのご厚意で撮らせていただいているものです。鉄道は感謝の気持ちを持って撮影しましょう。

© 株式会社エキスプレス