なべやかん遺産|「ウルトラセブンプロップ風ガレージキット」 芸人にして、日本屈指のコレクターでもある、なべやかん。 そのマニアックなコレクションを紹介する月刊『Hanada』の好評連載「なべやかん遺産」がますますパワーアップして「Hanadaプラス」にお引越し! 今回は「ウルトラセブンプロップ風ガレージキット」!

撮影用プロップの魅力

映画やテレビの特撮モノで使われた撮影用プロップを昔から集めている。撮影用プロップがなぜ好きかというと、撮影用こそ本物であり、それ以上でも以下でもないからだ。

出来が良かろうが悪かろうが、説得力がある。ここ最近では玩具業界最大手のバンダイからウルトラマンや仮面ライダーの変身アイテムや武器が発売され、他のメーカーでも多くのキャラクターのグッズが商品化されているが、イマイチなものが多い。

なぜイマイチかというと、どの商品も綺麗過ぎちゃうし出来が良すぎるからだ。

撮影用プロップというのは、ここ10年20年のものはとても繊細に仕上げられているが、それ以前のものは「大体こんな感じ」っていうくらいザックリした仕上げになっている物が多い。

海洋堂さんが開催しているガレージキットの祭典『ワンダーフェスティバル』では沢山のガレージキットが販売されていて、幕張メッセの会場内全てを見て回るには気合いと体力が必要となって来る。

そのため、毎回ピンポイント攻撃でブースを見て回るのだが、自分が好むのは凄く良く出来たガレージキットではなく、ザックリ感が素晴らしい撮影用プロップ風のガレージキットである。今回は製作者拘りのウルトラセブン関連撮影用プロップ風ガレージキットをご紹介しよう。

金属削り出しのこだわりの一品

ステルス田中雷工房さんは、田中さんを筆頭に拘りの凄いおバカな方々が集まっている。ステルス田中雷工房さんの商品はどれも人気があり、ワンフェス終了後には必ずヤフオクに転売されてしまう。ウルトラ関係のヘルメット、戦闘機の評価は高く、高額販売でも即完売!

これらは持っていないのが残念だが、ウルトラ警備隊が装備するウェポンはいくつかある。

王道ウルトラガン。先端の金属パーツがそそる。

まずはウルトラ警備隊員がメインとして使っているウルトラガンだ。メインの素材はプラキャストだが、写真のものは先端が金属パーツ。オリジナルプロップは全て金属で出来ているので、たとえワンパーツであってもこういった拘りは嬉しい。金属は削り出しだから、手間も半端なくかかる。それでもやってしまところが本当に凄い。

パラライザーの先端部分はホースのアタッチメント。
科特隊のマルス133と同ボディのパラライザー。

続いてパラライザー。先端の透明パーツ部分は水道ホースのアタッチメント。これを発見した時に「パラライザーを作れる」と思って制作したそうだ。パラライザーは科特隊(ウルトラマン)のウェポン、マルス133を流用したものだ。そんな事もあり、マルス133もステルス田中雷工房から発売している。

アンヌのスマートガンを商品化した事が凄すぎる!

アンヌ隊員専用のスマートガンも商品化した。これはかなりマニアック。でも、そこが良い。スマートガンも銃口部分が金属パーツ。拘りの為には手間を惜しまないのが素敵だ。

ビデオシーバーのクオリティは高い。
ケースに、ひし美ゆり子さんにサインをしていただいた。

ウルトラ警備隊といえば、ビデオシーバーが有名だ。昔は未来の装置だったが、今ではスマホやアップルウォッチがビデオシーバー以上の性能になってしまっている。ビデオシーバーもこだわりの金属製。オリジナルプロップとしても使える完成度の高さ。

画像部分は自分が好きな写真に変えられるが、やっぱりアンヌ隊員が良い。アンヌ隊員役のひし美ゆり子さんにお会いした時、このビデオシーバーのケースにサインをいただいた。ビデオシーバーを腕にも付けて貰ったから付加価値が付いたね~。

敵の宇宙人が使用したグッズも

見事に再現された怪獣カプセル。

ここまでは王道だが、これから先はマニアックモードに突入していく。ダン(ウルトラセブン)が持っている怪獣カプセル。これも商品化。カプセルを入れているケースも商品化しているが、それは持っていないので悲しいが、カプセルだけでも良いグッズだ。

ウルトラ警備隊のベルトバックルは金属製。

ウルトラ警備隊のベルトバックルも金属製で作っている。更に、バックル中央部分を押すと電球が点滅するギミック付き。ウルトラアイを遠隔操作する為の装置がダンのバックルにだけ付いている。こういったマニアックギミックを付けるのもステルス田中雷工房さんの特徴。

警備隊基地の自動ドア効果音を再現!バカだね~(笑)

ウルトラ警備隊関連で面白バカグッズも作っている。警備隊基地の自動ドアが開くと効果音がする。その音を再現!扉に磁石付きの装置を付けておくと、ドアが開く度に警備隊基地と同じ効果音がする。バカだよね~。でも、そんなバカ具合がたまらない。

ウルトラ警備隊マーク入りのメジャーもある。劇中でこれが出て来たことを覚えている人はどれだけいるのだろうか?

メトロン星人のタバコ。中に梅仁丹が入っている。

敵の宇宙人が使用したグッズも作っている。メトロン星人が向ヶ丘遊園駅前で販売していたタバコも再現。吸うと狂ってしまう恐ろしいタバコ。劇中ではタバコを割ると中から赤い玉が出て来るのだが、これも再現している。玉は仁丹の梅を使用。拘りもここまでくると呆れる。(笑)

チブル星人、おもちゃ屋じいさんのワッペン。

チブル星人が玩具や子供を操るために使ったワッペンも商品化。これもリブート作品を作る時はそのまま撮影用として使えるグッズだ。

どれも愛おしいコレクション

ウルトラアイへのウルトラ愛が強すぎる懐物ヒーロー製作所。

ウルトラセブン関連のプロップ風グッズを作っているメーカーは他にもあり、絶対に紹介したいのが懐物ヒーロー製作所さんだ。このメーカーは、とにかくウルトラアイに拘っている。ウルトラアイはダンがセブンに変身(正確にはセブンに戻る)するのに使う道具だ。撮影用プロップをいくつも作っているので、話によって使われている物が違うのだが、それをほぼすべて再現して作っている。ウルトラアイに対するウルトラ愛。とにかく凄い。

アマギ隊員カプセル。これぞプロップ風レプリカ!!!

アマギ隊員が囚われの身になった時のカプセルも作っているが、これはまさに劇中のプロップ感を再現している。これなんだよプロップって!綺麗にリアルに作られていたら欲しいとも思わないが、当時の撮影用の粗さを表現しているから最高なのだ。

プロップ風ガレージキットの世界、皆さんはどう感じるかな?自分にとっては、この拘りこそがプロップ愛だと思っているのでどれも愛おしいコレクションである。そして、作った人達を大尊敬。賛辞を込めて言いたい、素晴らしくバカだね~。

なべやかん

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