【高校発・みやざきSDGs】ー40ー海洋高(上) 藻場再生へウニ駆除

藻場再生のためウニを駆除する生徒

 本校の海洋科学科は、2年次から専門に分かれる。5つの類型から一つを選択することになっており、その中に海洋バイオ類型がある。「資源増殖」「海洋生物」「海洋環境」「小型船舶」「ダイビング」「課題研究」等の科目において、座学や実習等を行う。

 「課題研究」の取り組みとして、3年生の研究チームは、使い捨てカイロを活用して宮崎港のヘドロ除去に関する研究を先輩から引き継いだ。使い捨てカイロに使用される鉄と活性炭にクエン酸等を添加・圧着した後、団子状にしたもの(鉄炭団子)を宮崎港内のヘドロが堆積している箇所に沈めたところ、底質の改善が確認された。さらに研究を進める中、この鉄炭団子には海藻類の生育にも役立つことが判明した。

 「海洋環境」では、磯焼けや藻場再生等を学習。その一環として、3年生6人が、日向市農林水産部林業水産課と平岩採介藻グループの協力を得て、藻場をウニの食害から守るためウニの駆除を実施した。藻場再生は、持続可能な水産資源の確保には欠かせない。ウニの食害で2011年には、0・4ヘクタールとなってしまっていた平岩地区の藻場は、地元漁師の活動により、21年1月には、推定で8・6ヘクタールまで再生した。今回、ウニの駆除を体験した生徒たちは藻場の果たす役割と重要性を認識し、守り育て継承することの大切さを学ぶことができた。今後は同グループに鉄炭団子の設置を依頼し、藻場再生への影響について共同研究を行う予定だ。(主幹教諭・前田修大)

© 株式会社宮崎日日新聞社