【宮日と考える 宮崎の明日~公立大時事問題講義から】 こども新聞の役割 /「学び」をどう後押し

 2012年のこどもの日に誕生した宮日こども新聞は5月に10周年。活字、新聞に親しみ、人の機微や多種多様な出来事に触れることで「生き抜く力」を育んでほしいという創刊当初の思いを大事に、毎週土曜日に発行してきた。

 「こども目線」での情報発信を目指しており、ニュースをはじめ、エンタメ情報、作品投稿などで構成している。学習問題もあり、昨夏からは「質の高い教育をみんなに」を目標の一つに掲げるSDGs(持続可能な開発目標)への一助になればと、新聞販売所と連携。希望する県内のこども食堂へ無償で提供中だ。

 創刊前から続く児童生徒が取材、記事化する企画「こども宮日編集局」の登録者は400人に迫る。過去に登場して小学校教諭となった“卒業生”が、受け持っている児童にこども新聞の活用を呼び掛ける好循環も生まれた。「国文祭・芸文祭みやざき2020」と連動したこども記者プログラム「キッズプレスプロジェクト(KPP)」には、3年間で42人の児童生徒が参加。地元文化に光を当てた若い目が紙面を彩った。

 紙面を飛び出した企画も好評だっただけに、新型コロナウイルスの影響で中断しているこども新聞キャラクター「じゃーじゃ」の学校訪問の再開が待ち遠しい。2月には紙齢500号。この節目の年は、8月にNIE全国大会宮崎大会を控える。こども向け新聞を含めた新聞がこどもの「学び」をどう後押しできるか-。課せられた役割と責任を追求している。

 猪八重俊樹(いのはえ・としき)生活文化部編集委員。1995年入社。写真部、都農支局長、販売企画委員などを経て2021年4月から現職。宮崎市出身。48歳。

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