九州・沖縄県紙交換企画【SDGsの姿 2022】ー1ー 共生社会目指す任意団体「UP to ME」(宮崎市)

 貧困解消やジェンダー平等、住み続けられるまちづくりなど17分野で具体的な目標を掲げ、国連が2030年までの達成を目指す持続可能な開発目標(SDGs)。九州、沖縄各県で独自の取り組みを進める個人や団体を紹介する。

障害関係なく笑顔に

「障害者と交流し理解を深めたい」という短大生と、クリスマス会を企画した「UP to ME」の真北聖子さん(右)=2021年12月、宮崎市・南九州短期大学

 「困難があっても人生を楽しむ可能性を広げたい」-。車いすユーザーとして、約20年前からバリアフリー啓発活動を続ける真北聖子さん(40)=宮崎市=は2021年2月、任意団体「UP to ME~バリアフリーサークルみやざき~」を賛同者と設立した。

 自ら代表を務め、団体名は「自分次第」という意味を込めた。啓発活動や障害者のサーフィン体験、障害の有無を問わない交流会を展開している。

 幼い頃から活発で小学校4年からバレーボールに打ち込んだが、高校1年で脊髄動静脈奇形を発症。自力で歩くことができなくなった。現実を受け入れられないのに加え、「若いのに大変ね」といった周囲の無意識の偏見や言葉に傷ついた。

 退院後、20歳の時に母校の赤江東中(宮崎市)から声が掛かり実体験を語ったことが転機となり、講演活動を開始。今では劇団員、シンガー・ソングライター、ラジオパーソナリティーといった多彩な顔を持つ。

 設立1年目は新型コロナの影響を受けながらも、障害者や福祉を学ぶ専門学校生らが、障害があっても着やすくリメークした着物を披露するファッションショーを成功させた。

 他にも飲食店従業員が車いすを体験するバリアフリーセミナー、育児の孤立化を防ごうと赤ちゃん、母親を対象にした「子ども食堂」も実施。「コロナ禍で本当に困っている人の姿が見えてきた。さまざまな制限がある中でもできることを探したい」と前を向く。

 現在は車いす登山や旅行への思いを巡らせている。「仲間と多様な視点で考えれば、手段は見つかる。障害の有無に関係なく誰もが笑い合える社会を目指したい」と目を輝かせる。
 (宮崎日日新聞報道部・徳留亜弥)


 【メモ】「UP to ME」では障害者らとのイベントのほか、真北さんが車いすユーザーの目線で宮崎県の飲食店や観光地を巡り、バリアフリー情報を団体のフェイスブックやインスタグラムなどで発信している。

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