【新型コロナ】チェコの反ワクチン派歌手、故意に感染し死亡 息子が告白

 東欧のチェコ国内で活躍していたフォークグループのボーカルの女性が、家族が新型コロナに感染した際、距離を取ろうとせずあえて感染することで免疫を得ようとしたが、目的を果たせずあえなく亡くなったことが分かった。現地のラジオ局に同じく音楽界で活躍するギタリストの息子が出演し告白、母親に反ワクチンの思想を植え付けた人物だとして複数人の国内有名人を上げたことで騒動になっている。

あえて感染し免疫獲得を目指したか

 騒動の発端は、フォークバンド「Asonance」のボーカル、ハナ・ホルカ(Hana Horka)さん(57)の息子で、同じく音楽界でロックバンド「Jellen」のギタリストとして活躍するヤン・レク(JanRek)さんが地元公営ラジオ「iRozhlas.cz」に出演し、母親の死を告白したことだった。

 ヤンさんによると、自身と父親は年末の休暇シーズンにワクチン接種していたにもかかわらず新型コロナウイルスに感染し、療養した。ワクチン接種を受けていなかったホルカさんはその際、2週間の隔離を求められたのにも関わらず、感染した彼らが過ごす自宅内で通常通りともに過ごし、発症した。先に感染したヤンさんと父親は回復したが、ホルカさんはその後も症状が残り、16日朝、家族に「背中が苦しい」と訴えたあと窒息死したという。

母親に悪影響を与えた?国内有名人を実名告発

 ヤンさんは経緯を告白したあと、ホルカさんの行動について、あえて感染することを選んだのだと語った。その理由は2つ考えられる。1つは「衛生パス」を得るためだ。日本では「ワクチンパスポート」となるが、欧米の多くの国では、ワクチンを接種できない、していない人が行動制限を免除される条件として、感染し免疫を得た証明を提出することも認められている。

 続いて2つ目は、ヤンさんがラジオ局に出演して訴えたかった理由だ。彼は出演番組の中で、国内のSNS等でウイルスの弱毒性を喧伝し、ワクチンの有効性に対するデマを流布し続ける国内の有名舞台俳優、有名外科医師らの実名をあげ、「誰が母を感化したのかは分かっている。母が家族よりも知らない他人を信じたことが悲しい」と訴えた。この告発は大きな波紋を呼び、「iRozhlas.cz」は名指しされた1人に取材を試みたが、コメントを拒否されるなど、大きな騒動になっている。

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