徳島県三好市 奥祖谷で受け継がれる幻の年越しそばとは? パート3

**大晦日に縁起をかついで食べる年越しそば。
そばは他のめん類よりも切れやすいため、年越しそばには「一年間の苦労や災厄を断ち切る」という願いが込められているともいう。
日本三大秘境のひとつ、かずら橋や伝統的集落の点在する、徳島県三好市祖谷地方。ここはまた、昔から名だたるそばの里でもある。その祖谷そばの里で行う、地域コミュニティによる年越しそばづくりを紹介する。**

【前回の記事はこちら】
>>徳島県三好市 奥祖谷で受け継がれる幻の年越しそばとは? パート1
>>徳島県三好市 奥祖谷で受け継がれる幻の年越しそばとは? パート2

徳島県三好市の伝統料理 祖谷の年越しそば作り いよいよ佳境

三好市東祖谷久保地区。ここでは、そばづくりに集まった地元の人々が忙しく作業に追われている。

手作業で行われたそば打ち、そば切り。切られたそばは、別の作業場へ運ばれ、茹でられる。作業場の煙突からは煙、屋根からは湯気が立ち上っている。

祖谷のそば、清らかな湧き水と三好の奥深い山の恵みの薪

そばを茹でるのは、昔ながらの薪を使ったかまどで行われる。

薪ももちろん、地元のもの。沸騰した湯に、そばを入れ手早く茹でていく。

ゆであがったそばは、すぐに祖谷の冷たい湧き水ですすぎ、締められる。

久保満月会の岡本さんも、「色が全然違うだろう。」と、冷水で締められたばかりの、つやつやとした自慢のそばを見せてくれた。

茹でられたそばは、四角いざるにきれいに並べられ、箱詰めの建物へと運ばれる。

そばは山の冷たい澄んだ空気の中、いよいよ箱詰めを待つばかり。

祖谷の人々が丁寧に打ち上げた自慢の祖谷そばを全国へ

箱詰め作業の建物では女性たちが、10玉ずつ、重さを測ったりしながら、手際よく箱に入れていく。

後ろの壁には、送り先や数などの書かれた大きな表が張られており、その規模の大きさに驚く。

慌ただしく箱詰めの作業が続けられる中、そのうちの一人が箱にシールを次々に貼りながら、「もう、これ以上数が増えるのは手が足りなくて、無理。」と話してくれた。

しかし同時に、その満面の笑顔からは、自分たちの手をかけた祖谷そばが、この、厄を払い、健康や長寿を願うという年越しそばとして食されるのを心から誇らしく思っているのが強く伝わってきた。

こうして箱詰めされた幻の祖谷の年越しそばは、地元の家庭をはじめ、宅配便で全国にも届けられる。

一年の締めを縁起のいい「祖谷そば」で

祖谷そばはつなぎがほとんど入らず切れやすいため、「今年一年の災厄を断ち切る」縁起の良い年越しそばとしても人気。
三好市を訪れた際は、ぜひ、秘境の味、祖谷そばを味わってみて欲しい。

祖谷そばが食べられるお店

旅の宿 奥祖谷

都築商店

峡谷の隠れ宿 祖谷美人

(取材・文: ショーン ラムジー)

© まるごと三好観光ポータルメディア