飲料用容器市場に関する調査を実施(2021年)

2021年の飲料用容器の国内出荷量は、前年比101.2%の731億3,000万本の見込~メーカー各社には、自社だけでなくサプライチェーン全体でのカーボンニュートラル実現に向けた取組みが問われる~

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株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の飲料及び食品用容器の市場動向を調査し、製品セグメント別の動向、参入企業動向を明らかにした。ここでは、飲料用容器の国内出荷量について公表する。

1.市場概況

2021年の飲料用容器市場規模(国内出荷量ベース)は、前年比101.2%の731億3,000万本を見込む。

種類別にみると、飲料用紙カップはコロナ禍に伴う外出自粛の動きが緩和され、人流が回復したことでコンビニエンスストア(以下、CVS)やコーヒーチェーンなどでの需要が増加したため前年比109.1%と大きく成長した他、PETボトルも秋以降の需要増が期待されることから同103.0%と堅調である。また、アルミ缶は同100.2%、ガラスびん(食品用を含む)は同100.9%とほぼ前年並みの需要を確保するものと見込む。一方で、減少が続く飲料用スチール缶は同96.6%、紙カートンは巣ごもり需要増の反動から同98.0%と前年を下回る見込みである。

2.注目トピック~プラスチック容器包材に向けられる視線が厳しさを増す中、紙、アルミなどでのプラ代替の動きが加速

石油資源由来のプラスチックを使用したパッケージは、その製造工程及び使用後の焼却処理においてCO2の発生が避けられないため、温室効果ガス排出という点でユーザー企業から厳しい目が向けられるようになった。特に、食品や飲料、トイレタリーなどのコンシューマー商品を扱い、グローバルで展開するブランドオーナーや、日々消費者と接するCVSなどの流通各社では、自社で扱う商品の環境に与える影響が企業イメージに直結するとして、容器・包材のサプライヤーに対してバイオマス原料やリサイクル原料など環境配慮型素材の採用拡大によるCO2削減やリサイクルしやすい容器・包材の供給を求めている。

これに伴い、従来プラスチックボトルが使用されていたシャンプーやリンスなどのトイレタリー用品の容器を紙カートンで代替しようという動きが出てきている。また、PETボトル入りでの販売が主力であったミネラルウォーターを紙カートンで販売する動きもある。

また、一部のCVSではカウンターコーヒーのコールド飲料用カップの紙化を行った。スポーツイベントのスタジアムで観客に提供される飲料カップについても、試験的に水平リサイクル可能なアルミカップが採用された例がある。

3.将来展望

国内市場においては、多くの企業が「環境対応」をCSR(Corporate Social Responsibility)の一環として位置付けてはいるものの、これまでは主力となる製品やサービスとしての展開にまで広がらないケースもあった。植物由来材料や再生材料などはコストが高いことが多く、食品やトイレタリー用品といった中身の容器での採用が難しかったという事情もある。しかし、世界規模での気候変動や環境汚染が問題となる中で、欧州を始めとする多くの国々においてプラスチックごみの削減に向けた規制が強化されるなど、環境配慮は国際的な課題となっている。

国の枠を超えて環境問題解決に向けた認識の共有や連携の確認、行動計画への合意が行われ、グローバル規模で消費者の環境に対する意識が大きく前進する中、国内で展開する容器・包材メーカー各社もこの動きと無関係ではいられない。

バイオマス原料やリサイクル材などを使用した環境配慮型プラスチックの採用拡大や、パッケージの設計、素材構成の見直しによるリサイクル性の向上、プラスチック代替素材の提案など、CO2排出削減とユーザーの環境対応を後押しする取組みは容器包材メーカーが生き残る条件ともなっている。

容器・包材メーカーには自社でのカーボンニュートラルに向けた取組み(Scope1+2)に止まらず、Scope3を含めたカーボンニュートラル実現を目指すべきである。それこそが食品・飲料のサプライチェーン全体の中での容器・包材メーカーの責務であり、存在価値であると考える。