見たい未来@長崎 2022知事選<1> ジャパネットたかた創業者・髙田明氏 もっと県民に夢を語って

「知事選では1票の重みも考えていきたい」と語る髙田氏=佐世保市日宇町、ジャパネットたかた

 2月3日告示、20日投票の知事選で県政の次の4年間を担うリーダーが選出される。県は九州新幹線長崎ルート開業など大型プロジェクトによる「まちや産業の変化」を強調するが、県民生活の課題は多岐にわたっている。各分野の関係者は本県の現状をどう捉え、どんな未来を思い描いているのか。7人にインタビューした。

 -長崎県は元気がないと言われる。課題は何か。
 元気がないのは全国どこも一緒。人口が減り、若者がいない。長崎だけの問題じゃない。従来の人口減少対策は企業誘致での雇用創出、移住者増など。それでは日本の中でパイの取り合いをしているだけ。日本全体の人口減少は止められない。若者が残る街にして出生率を上げていくという視点から、いろんな施策を考えていく必要がある。
 長崎は歴史があり、すごく魅力のある県。ただ今の姿を踏襲するだけではなく、素晴らしいものを発掘し、磨いて、どう伝えるかが大事だ。どんなに素晴らしいものがあっても伝えなければ、ないのと同じ。核兵器の問題にしても一番発信できる。すごく世界にアピールできるものがある。そういうものをきちんと整理して伝えることも必要ではないだろうか。

 -次期知事に求めることは。
 やっぱり、もっともっと県民に夢を語っていただきたい。政治は何のためにあるのか。人間って、結局どれだけの人を幸せにできるかだと思う。
 21市町で頑張っている事業者や生産者の皆さんの育成にも目を向けていただきたい。県外から来る企業への優遇はあるが、今ある地場企業をもっと育てるという視点も必要。企業誘致で数年先に何十人の雇用を生み出すのはありがたいが、今ある企業も雇用に大きな役割を果たしているので、誘致と両輪で育て元気にしていく。
 私は「ミッション」「パッション」「アクション」の三つの「ション」を語ってきた。地方自治も一緒。トップがリーダーシップを発揮し、ミッションを掲げ、情熱を持ってアクションを起こす。自分が思っていることを遠慮なくもっと発信してほしい。

 -県民にも何かが求められるか。
 何事も知事1人じゃできない。誰が知事になっても、その人を支えて一緒にやっていくんだという県民意識がなければいけない。「(知事が)何もやってくれない」との批判を耳にすることもあるが、「われわれ自身は何をやるべきか」を自覚して変わっていかねば。一人一人が「こうしてほしい」ともっと声を出していくべき。政治に関心を持ち、ぜひ知事選では1票の重みも考えていきたい。

 -見たい長崎の未来は。
 コロナ禍の2年間で人間って何か、地球はどうなっていくのか、ということをすごく考えた。戦争で親が亡くなった人が何億人もいる。人間ってなんだろうねって。
 一番は「平和を感じる長崎県」が柱じゃないかと思う。来た瞬間に平和の風、空気感を感じる。そういう街にしてほしい。例えば8月9日11時2分に、県内にいる全員が立ち止まって1分間黙とうする。これは知事発信でできるし、世界中から取材に来て注目されれば「平和」について長崎発でメッセージを投げかけられる。
 プロチームもあるので、スポーツ立県も目指してほしい。長崎にもっと元気になってほしいという思いが私にはいっぱいある。だから知事選には、すごく関心があります。

 【略歴】たかた・あきら 1948年生まれ、平戸市出身。86年に「たかた」を設立、99年に「ジャパネットたかた」に社名変更。2015年に社長退任。17年からV・ファーレン長崎社長を務め、20年1月に勇退した。現在は「A and Live」代表取締役。


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