有限会社かんずり(新潟県妙高市)が大寒の雪の中「雪さらし」を実施

有限会社かんずり(新潟県妙高市)は大寒にあたる20日、妙高市(旧新井市)に古くから伝わる調味料「かんずり」の製造工程の一つである「雪さらし」を本社近くの田んぼで行った。今年が55年目となる。

かんずりは、唐辛子を雪にさらした後、糀・柚子・塩を混ぜて3年間熟成発酵させた添加物・保存料不使用の自然発酵食品。まろやかな辛味と糀の旨み、柚子の香りが特徴で、四季を通じて料理の味を引き立てる。

かんずりは、自社や契約農家で栽培した妙高市産の「かんずり用唐辛子」を収穫・選別し、8月から天然海水塩で塩漬けにする。その後、大寒の日から3~4日ほど雪さらしをし、糀、柚子、食塩を加えて、3年間ほどかけて熟成・醗酵させていく。

この日は雪が降る中、女性社員4人が合計700キログラの唐辛子を手分けして雪上にまいていった。1本約20センチメートルほどある大きな唐辛子の赤と、雪の白が綺麗なコントラストになった。雪さらしの作業は2月末まで10回ほど行われ、合計で2.5トンの唐辛子が雪上にまかれる。

かんずりの東條昭人社長によると、塩漬けにした唐辛子を雪にさらすと、塩分とアクが抜けて味がまろやかになるといい、雪さらしの作業は東條社長の祖父が発案した。

東條社長は「今年は大寒らしい大雪の中での雪さらしになった。どんな天候でも仕事を始めるということで開始した。雪さらしをしていないと味が全然違うものになるので、味的には欠かせない作業の1つになっている。以前は味噌と同じように各家庭でかんずりを作っていた。この地域の食文化として残し続けなければならない」と話した。

大寒に行なわれた恒例の雪さらし

この日は約700キログラムがまかれた

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