新潟県内で新型コロナウイルス第6波が猛威を振るう中、佐渡市では4ヶ月間新規感染確認ゼロ人

佐渡島の荒波

新潟県内で連日、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数の過去最多が更新され、20日には460人を超える感染が確認されているなか、離島・佐渡島(佐渡市)では2021年9月18日(判明日)を最後に新規患者が確認されていない。

20日時点での佐渡市内の累計患者数は55人。その多くは7月・8月の、デルタ株が猛威を振るったいわゆる「第5波」に集中している。同市の市民生活課職員によると「第5波当時と比較すると、現在は問い合わせの電話も少ない」ようで、現時点でも第6波の影響はあまり見られないようだ。

比較的感染状況が落ち着いていた昨年・今年の年末年始は県内全域で帰省者の姿が見られ、佐渡へ向かうカーフェリー乗り場にも列ができていたことは記憶に新しい。本土では、帰省がその後の感染拡大の契機の1つとなったという見方もあるが、佐渡ではその影響も出ていない。

その明確な理由については不明だが、佐渡市の職員は、市内のワクチン接種の進みから無症状のまま過ごしている可能性や、新潟市などの都市と比較した際に人口密度が非常に低い点(佐渡市は人口6万人弱。同程度の人口の十日町市や南魚沼市よりも面積が広く、新潟県の情報によると、佐渡市の人口密度は県内22番目)から、ウイルスが流入しても広がりにくい点を指摘する。また、観光キャンペーンがあったとはいえ、冬場はオフシーズンであり旅行者も多くないことも理由の一つとして考えられる。

昨年末、新潟市内の佐渡汽船のカーフェリー乗り場

一方で、決してコロナ前の生活環境が広がっている訳ではない。市民はマスクや手指消毒などの感染対策を講じているほか、20日に開かれた市独自のコロナ対策本部会議では、防止まん延防止等重点措置が適用された県の対策に準じて、飲食店への時短要請や、小中学校・ジュニアスポーツクラブに90分程度、かつ平日のみという時間制限が設けられた。大会参加も一部で制限されている。

また県が実施する「無料検査所」も市内6ヶ所に設置(PCR検査が可能な薬局は3店舗)。検査数が増えるに従って、市内で埋もれていた感染が発見される可能性もあるが、早期の発見は封じ込めにも繋がる。佐渡の金銀山が世界遺産登録に向けて動く中、観光のメインとなる夏場の状況が今から気がかりだ。

なお、佐渡市よりも人口規模の小さい県内市町村をみると、関川村では19日に新規患者が確認されたものの累計では8人のみ。津南町では累計49人の感染が確認されているものの2021年10月1日以来新しい患者は出ていない。また県医療調整本部によると、佐渡と同じく離島の粟島浦村ではこれまで新型コロナ患者は確認されていない。

(文・鈴木琢真)

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