日本の演劇人を育てるプロジェクト 新進演劇人育成公演 「中島鉄砲火薬店」開幕!新撰組隊士 中島登の想いと生き様、人の命より重い志があるのか?

新進演劇人に上演の場を提供することにより、新進芸術家の育成を図ることを目的とした、「日本の演劇人を育てるプロジェクト」の事業として上演される本公演。
ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズや舞台『幽☆遊☆白書』など、2.5次元舞台の第一線で活躍する伊藤栄之進が、2012年にSET(劇団スーパー・エキセントリック・シアター)の劇団員が立ち上げたブレーメンプロデュースに書き下ろした作品。10年の時を経て、初の再演に挑戦する。

新撰組隊士中島登が箱館戦争終結後、残りの人生を送った浜松での暮らしを描いた作品で、メインビジュアルは市立函館美術館に所蔵されている、中島登が描いた『戦友絵姿』より、土方歳三をモチーフに。
主人公の中島登役に唐橋充、共演に小西成弥、田村心、大見拓土、松井勇歩、市橋恵、 福永マリカ、飯野雅彦、栗原功平、高木トモユキ、松本寛也ら、11名の個性的なキャストが集まった。
アコースティックな調べ、幕開き、いきなり主人公である中島登(唐橋充)が寝ている。再婚もして落ち着いた暮らしを送っている。そこへ、彼の息子である登一郎(小西成弥)が登場、ちょっと客いじり「どこからいらしたんですか?」、聞かれたら素直に応じよう。時代は今から143年前のこと。彼は父をたずねて東京から浜松にやってきた。「捨てられて呼び寄せられた」と語る。ツケの音、「あなた!!起きて!20年ぶりに登一郎さんんに会うのよ!」と妻のヨネ(福永マリカ)。どうも中島登はどこでも寝ることができるらしい(笑)。笑いのシーンを挟み込みながら物語は進行する。

薬売り風の男(飯野雅彦)、ちょっと訳ありな雰囲気。ヨネはすっかり富山の薬売りと思い込む。時折、登の前に土方歳三(高木トモユキ)が現れる。共に箱館戦争を戦った。土方歳三がその後、どうなったかは語る必要もないくらいよく知られている。登一郎が登の家に着く。
史実とフィクション、甘利正太郎(田村心)と内山孝介(松井勇歩)、不穏な動き。甘利正太郎は「父を中島に殺された」と言う。並々ならぬ敵意を抱く。そんな折に、中島の元に大島(栗原功平)がやってくる。大島は中島に忠告をしにきたのだった。

軽妙でコミカルなやり取り、テンション高め、観客を物語に引き込んでいく。大島は元彰義隊隊士の大島清慎のことで当時浜松裁判所・登記所代書だった。会津戦争で重傷を負った彰義隊隊士・大島清慎を救護所まで運んだので、大島にとっては中島は命の恩人。またセリフにも出てくるが、静岡藩の開墾に尽力し、自分の田地を人々に譲渡。商売もいくつか始めており、質屋を経営するが失敗。明治14年(1881年)、栽培していた葉蘭に偶然新種が誕生し、品評会にて「金玉廉」と名付けられ、爆発的な売れ行き、ところが馬が親株を食べてしまった為商売終了。明治17年(1884年)には「鉄砲火薬売買人」免許を取得し、中島鉄砲火薬店を開業する。この史実にフィクションを交える。物語の中心は中島登が主軸であるのは言うまでもないが、脇を彩るキャラクターの生き様や考えもしっかり描かれており、見応え十分。中島登は、土方歳三や島田魁ら数名の新選組隊士らと共に戦い、明治2年、降伏。謹慎の後、静岡藩にお預けとなる。出身は武州多摩郡小田野(現在の東京都八王子市西寺方町)だが、そういう訳で浜松に居住していた。

中島の思い、考え、土方への想い、彼は『戦友絵姿』や『中島登覚え書』などを残している。同じ新撰組の生き残りの永倉新八は新撰組結成当初からの隊士であったが、中島は1864年に入隊。物語にも出てくるが、彼の描いた『戦友絵姿』、絵だけでなく、ちょっとしたコメントも添えられている。また、男性ばかりの登場人物に混じって女性キャラクター、ヨネとヨシ(市橋恵)、どちらも明るい性格、彼女たちが出てくると場面が楽しくなる。

なんのために戦ったのか、土方歳三のセリフ「志は危うい」と言い、中島登は「人の命より重い志があるのか」と問う。降伏してからの中島登の生き様と哲学、現代にも通じるものがある。脚本・演出は伊藤栄之進。

<あらすじ>
新撰組隊士として箱館戦争を戦い抜いた中島登は浜松に移り、後妻を迎えて静かに暮らしていた。
登は、先妻との間に生まれ離れて暮らしていた息子の登一郎を呼び寄せる。
ある日、かつての仲間である大島が訪れ、元新撰組隊士たちが不審な死を遂げていると切り出す…

概要
タイトル:日本の演劇人を育てるプロジェクト 新進演劇人育成公演 「中島鉄砲火薬店」
日程・会場:新国立劇場小劇場 2022年1月20日~1月27日 新国立劇場小劇場
脚本・演出:伊藤栄之進
出演:唐橋充(中島登) 小西成弥(中島登一郎) 福永マリカ(ヨネ) 市橋恵(ヨシ) 飯野雅彦(石田) 松井勇歩(内山孝介) 松本寛也(鶴太郎) 大見拓土(亀吉) 栗原功平(大島) 高木トモユキ(土方歳三) 田村心(甘利兵衛・甘利正太郎)

制作:公益社団法人日本劇団協議会
主催:文化庁 公益社団法人日本劇団協議会

公式サイト:https://nakajima-teppo.studio.site.
公式Twitter https://twitter.com/nakajimateppou

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