波瑠「望緒は、“友達のためなら行動を起こせる人”なのかなと思います」――「愛しい嘘〜優しい闇〜」インタビュー

テレビ朝日系で毎週金曜日に放送中のドラマ「愛しい嘘〜優しい闇〜」。先週放送された第1話では、漫画家アシスタントとして苦しい日々を過ごしていた主人公・今井望緒(波瑠)が、地元・山梨で行われた同窓会に参加し、初恋の人・雨宮秀一(林遣都)をはじめ、幼なじみの深沢稜(溝端淳平)や弁護士の本田玲子(本仮屋ユイカ)ら中学時代の仲良し6人組と再会。懐かしい友との会話に心を躍らせる望緒でしたが、同窓会の数日後、友人の1人である岩崎奈々江(新川優愛)が遺体となって発見されるという、誰もが予想だにしない展開で幕を閉じました。

SNS上では「雨宮くん怪しすぎない?」「玲子の表情が気になる」など、考察が次々と飛び交っている本作。先が気になる第2話の放送を前に、控えめな主人公・望緒を演じる波瑠さんのインタビューをお届けします。「あまり経験がない」というラブサスペンス作品の印象や、悩んだという役作りのお話を伺いました。さらに、考察ドラマのイメージについては意外な答えが!

――今回、ラブサスペンス作品への出演ということで、オファーがあった時にどのようなことを感じましたか?

「最初に、『ラブサスペンス作品です』という情報だけをもらった時は、こんなにかわいらしい絵の漫画が原作ということも知らなかったので、次々と起こる事件に『怖そうだな…』と思いました。本当に何が起こるか分からない作品なので、『私が犯人なんですか? 最後まで生きてますか?』みたいなことを思っていました(笑)」

――原作も読まれたと伺いましたが、いかがでしたか?

「漫画の絵柄は、全体的にすごく柔らかくてかわいらしいんです。だから、驚くくらい事件が起きて周りの人が亡くなっていくという展開に、ちょっとびっくりしちゃって(笑)。でも、その世界観があってこそファンの方がいるのだと思います。私たちは本来あるものに手を加えさせていただく側なので、作品に対しての敬意というかリスペクトをきちんと持って、原作のファンの方にも見たいと思ってもらえるように作れたらなと最初の頃から考えています」

――第1話のラストでも、奈々江が命を落とすという展開が起こりました。個人的にも、かなりびっくりでした…!

「そうなんですよ! ぶつかり合って和解したかと思いきや…。第2話でも、奈々江が亡くなった後のシーンがあるんですけど、あそこの撮影は本当につらくて苦しかったですね」

――残った同窓生のメンバーについても、表情一つが今後のストーリーの中で何かの伏線になってくるのではないかと思います。

「そうですよね。一番大変なのは誰なんだろう…雨宮くんもだけど、玲子も人のうそを見抜いたり、情報をキャッチできたりする人物なんですよ。みんなが何かを抱えているからこそ、『あの人が怪しい』と単純に演じるだけではなくて、物語の伏線になるよう盛り込んでいかないといけないので、結構消費カロリーが高い作品だなと思います」

――サスペンス作品というと最近は考察ブームがありますが、波瑠さん自身も気になったり考えながら作品を見ることはありますか?

「日本のドラマではあまりないんです。『ベテランのこの人が出てきたってことは何もないわけないじゃん!』ということがあるじゃないですか(笑)。配信系の海外作品だと、役者さんのイメージにとらわれずフラットに見ることができるので、『これはこうなんじゃないか?』と考えながら見ることはありますね」

――海外ドラマだと、しれっと出てきた人物が実はものすごく重要だったという展開もよくありますね。

「1シーンごとにいちいちびっくりしちゃって、『えぇ!?』と思いながら見てしまいます。結構いいお客さんなんですよ。『これ見たら寝よう…!』って思ったけど、次のエピソードが読み込まれてどんどん進んで止められないみたいな感じになっちゃいますね…(笑)」

――「愛しい嘘」では、登場人物それぞれにいろいろな一面がありますが、今回演じられる望緒について監督から何かオーダーなどはありましたか?

「実は、監督のオーダーと私の中の望緒のイメージがせめぎ合うことがあったんです」

――どんなせめぎ合いがあったのでしょう?

「望緒の“言いたいことがあるのに謝ってしまう性格”は、これまでの彼女の人生でもずっとそうだったと思うんですよ。そこを抜け出すことって他の人が思っているよりも難しくて。『だめだって分かっていても、自分は結局こんな感じなんだよな』と受け入れてしまう部分もあるんだろうなと思うんです。でも、監督からは『望緒の思いを正直にそのままぶつけたい』と言っていただいたので、どういったバランスでやろうかなと悩むことがありました。なので、“望緒は人のために頑張る”ということにしたんです。“自分の意見はあまり通せないけど、友達のためなら行動を起こせる人”、望緒はそういう人物なのかなと自分の中で落ちついた感じがありますね」

――そうだったんですね。かなり試行錯誤されている印象を受けましたが、結末に近づくにつれてだんだんと変化していく望緒も見どころの一つになるのでしょうか?

「そうですね。自分が大事にしたいものに気がついてからの望緒の成長や変化というのも物語を通して描かれていくので、その変化は見どころだと思います」

――望緒の“言いたいことがあるのに謝ったり抱え込んでしまう”といった性格に共感することはありましたか?

「望緒の気持ちが分かる場面はたくさんありますし、他のみんなも自分をさらけ出せないモヤモヤを抱えているので、それぞれに共感できます。玲子や優美(黒川智花)も、自分にしか分からないささいなコンプレックスがトゲのようにずっと刺さってしまっている。大人になった女性の特有の悩みというか、そういった部分も共感できますね」

――玲子や優美の視点から見ても共感できる場面が多いということでしょうか…?

「そうなんですかね…でも玲子みたいにお仕事をバリバリ頑張ってきた人のコンプレックスを感じる部分、優美みたいに独身を謳歌(おうか)せずに結婚してしまったことに『これで良かったのかな…?』と思ってしまう部分、どんな決断にも迷いがついてまわるという意味では、それぞれの悩みが私にもちょっと分かるかなと思います」

――ちなみに、ドラマの結末が分からない中で、波瑠さんが今一番怪しいと思っている人物を教えてください。

「誰だろう…(かなり悩んで)でも意外と、先手必勝みたいな感じでくる玲子が気になりますね。みんなをリードして、『ああしよう、こうしよう』と言っているので。言い出しっぺが怪しいってこともあるじゃないですか。『怪しいって言い出したやつが怪しいんだ!』みたいな(笑)。でも、どの視点から見ても全員が怪しいなって思ってしまいますね」

――それでは最後に、今後のドラマの見どころ、注目ポイントをあらためて教えてください。

「1話でもちょっと出てきた、優美の夫の正(徳重聡)がかなりくせ者なんです。ただ者じゃない感じがすごくあるので、絶対に目を離さないでいただきたいです。あとはやっぱり、タイムカプセルを開けたことで出てきてしまった、目を背けるわけにはいかない過去と私たちがどうケリをつけていくのか、そこの部分も楽しみながら見ていただきたいです」

――今後の放送も楽しみにしております! ありがとうございました!

【プロフィール】

波瑠(はる)
1991年6月17日生まれ。東京都出身。双子座。O型。主な出演作に、ドラマ「連続テレビ小説 あさが来た」(NHK)、「世界一難しい恋」(日本テレビ系)、「あなたのことはそれほど」(TBS系)、「未解決の女 警視庁文書捜査官」(テレビ朝日系)、「ナイト・ドクター」(フジテレビ系)、映画「コーヒーが冷めないうちに」(2018年)、「弥生、三月-君を愛した30年-」(20年)、「ホテルローヤル」(21年)など。

【番組情報】

「愛しい嘘~優しい闇~」
テレビ朝日系
金曜 午後11:15~深夜0:15
※一部地域で放送時間が異なります

取材・文/平川秋胡(テレビ朝日担当) 撮影/蓮尾美智子

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