永野芽郁 タバコをふかし、荒々しい口調 親友の遺骨を持って旅する主人公 「マイ・ブロークン・マリコ」

平庫ワカのコミック「マイ・ブロークン・マリコ」が、タナダユキ監督、永野芽郁主演で映画化されることが決まった。秋に劇場公開される。

「マイ・ブロークン・マリコ」は、2019年にオンラインコミック「COMIC BRIDGE」で連載された作品。毎話SNSでトレンド入りし、翌年出版された単行本は即重版が決定。メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞するなど、大きな反響を呼んだ。亡くなった親友イカガワマリコの魂を救うため、主人公のシイノトモヨが「遺骨を持って旅に出る」という斬新な物語設定と、読者に投げかける答えの見つからない問いかけが、多くの読者の心に刺さった。

主人公・シイノトモヨを演じるのは永野芽郁。「地獄の花園」「キネマの神様」「そして、バトンは渡された」と異なるタイプの作品に出演し、第46回報知映画賞主演女優賞、第45回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞など、2021年に大活躍を見せた永野が、鬱屈した毎日を送るやさぐれたOLという役どころを演じる。永野は「自分の中でも大きな挑戦」と捉え、これまでの清純派のイメージを封印。タバコをふかし、荒々しい口調や態度で人間味あふれるシイノを演じている。

親友マリコを失った悔しさや怒り、悲しみ、喪失感、そしてマリコを思う愛おしさ、めんどくささなど、シイノの中をうごめくさまざまな感情を表現した永野は、「日々体の芯が熱くなるのを感じながら、心から声を出しました。今までにない私を観ていただけると思います」と自信をのぞかせている。

メガホンをとるのは、日本映画監督協会新人賞を受賞した「百万円と苦虫女」のほか、「ロマンスドール」「浜の朝日と嘘つきどもと」などのタナダユキ。苦境の中でもささやかながらも自分の道を切り開いてきた人々の日常を、ユーモアをもってリアルに描いてきたタナダユキが、親友を亡くしたシイノの旅路と、共依存ともいえるマリコとの関係を、過去と現在を行き来しながら描いていく。脚本は「愚行録」「ピース オブ ケイク」の向井康介とタナダユキが務めている。

永野芽郁、タナダユキ監督、原作者の平庫ワカのコメントは以下の通り。

【コメント】

■永野芽郁(シイノトモヨ役)
シイノ役のお話を頂いた時は、自分の中でも大きな挑戦だったので不安もありとても葛藤しましたが、全てを受け入れ一緒に乗り越えようと言ってくれたタナダ監督に、ついていきたいと思いました。
「マイ・ブロークン・マリコ」という作品の世界観が私は大好きです。初めて原作を読ませていただいた日から虜です。
その気持ちを大事に、リスペクトを込めて、日々体の芯が熱くなるのを感じながら、心から声を出しました。今までにない私を観ていただけると思います。
完成が楽しみです。

■監督:タナダユキ
原作を読み終えた瞬間、何かに突き動かされるように、後先も考えず映画化に向けて動き出しました。自分自身漫画というものが大好きで、漫画の実写化には懐疑的な分、突き進むことでまた地獄を見ることもわかっていたのに、学習能力を瞬時に失わせる底なしの力強さが、この原作にはありました。
それは、どうにもならないことをどうにかしようと、泣き、喚き、鼻水を垂らし、理不尽を酒で流し込み、流しきれない感情にまた翻弄される主人公シイノの、その生き様に強く魅せられたからに他なりません。
シイノ役には、絶対的な芝居の力はもちろんのこと、それとはまた別の魅力、重いテーマを軽やかに背負える、その俳優自身が持つチャーミングさも作品にとっては必要不可欠でした。そして、この人しかいないと思えたのは、永野芽郁さんでした。彼女ならば、シイノの衝動を、シイノの感情を、無様さを晒せる最高に格好いいシイノという一人の人間のデコボコとした魅力を、余すところなく表現できると感じたのです。
撮影していて、シイノとして生きる永野芽郁さんに心が揺さぶられる瞬間が幾度となくありました。シイちゃんが、確かにそこに生きていました。作り手としてこれ以上の喜びはありません。
シイノの流した涙の後に見る世界が、少しでも美しいものであるように。そう願わずにはいられない、そんな作品を目指して、完成までもがき続けたいと思います。ご期待ください。

■原作者:平庫ワカ
撮影現場にお邪魔するとタナダユキ監督をはじめ多くのスタッフの方々がいらして、細かい部分に工夫の跡が見られる機材や小道具などがあり、映画という表現物の関わる人や動かす物の多さに改めて漫画で出来る事と映画で出来る事の違いを考えたりしました。透明人間になって一日中見ていたかったです。
タナダ監督から演出が入ると瞬時にニュアンスの変わる永野芽郁さんはじめみなさんの演技をモニター越しにではあるもののすぐそばで見ることが出来て、カットとアクションの間の空気も含めて胸に来るものがあり、何度も感動いたしました。やはり透明人間になってもっとそばで見ていたかったです。
映画が大好きなので、原作として映画の端っこにでも関われた事を光栄に思います。どう映像化されどう解釈されどう映画になっていくのか、とても楽しみです。

永野さんについて
一見ご本人のイメージからかけ離れて感じるかと思うのですがシイノのような人物像をきっと演じて頂けるのだろうなという片鱗はこれまでご出演の作品の中にも垣間見えていたように思います。撮影現場で最初に演技中のモニターを覗かせて頂いた時、そこに映ってるふてくされた少年のような女性が永野芽郁さんだとはしばらく気付きませんでした。このシイノがどのように暴れる姿を私たちは見れるのかと期待せずにいられないです。

【作品情報】
マイ・ブロークン・マリコ
2022年秋 全国ロードショー
配給:ハピネットファントム・スタジオ、KADOKAWA

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