地球規模の感染症解決へ 長崎大大学院に博士養成課程 10月開設

 長崎大は20日、新型コロナウイルス感染症など地球規模の課題に対し、学術的な知見を政策に結び付けることができる人材を養成するため、10月に大学院に「プラネタリーヘルス学環」を開設すると発表した。博士後期課程で定員は5人。
 プラネタリーヘルスとは「地球の健康」、学環とはさまざまな学問を環状につなぐことを意味する。公衆衛生問題を解決し、人類が地球上の生き物と共存し、健康に暮らせる社会の実現へと導くリーダーを養成する。
 新型コロナのパンデミックでは、ウイルスの感染力など専門家会議の学術的エビデンス(根拠)を、国の感染防止策などに効果的に結び付けることができずに世界的な混乱が生じたとして、このような問題を解決しようと同学環を開設する。
 国立国際医療研究センターやロンドン大学など国内外の世界レベルの各種機関と連携して研究する。生命医科学域、人文社会科学域、総合生産科学域の3学域の各教員が教えるのが特長。来年度は国から総額約8千万円の事業経費が認められている。
 2月から学生の募集を始める。公衆衛生学の修士保有者や保健衛生分野の実務経験者らを想定している。修業は3年間。博士(公衆衛生学)の学位を授与する。
 同大熱帯医学・グローバルヘルス研究科の平山謙二教授は「感染対策だけでなく経済学を含めた社会全体を見渡せる大きな視野が必要。ウイズコロナ、ポストコロナを見据え、世界的に必要とされる人材を育てたい」と話している。


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