目立った混乱なし 「ワクチン・検査パッケージ」での行動制限緩和 長崎大、検証報告書を公表

 長崎大は20日、新型コロナウイルスワクチンの接種済証か検査の陰性証明があれば行動制限を緩和する国の「ワクチン・検査パッケージ制度」に準じた対策を講じて長崎市内で開催した市民向け「ウイズコロナイベント」の検証報告書を公表した。ワクチン接種記録の確認や入場制限について目立った混乱や問題はなかった。今後の課題として、事前に市中で抗原検査を受けられる体制の整備が必要とし、ワクチン2回接種者であっても検査陰性の証明が必要となる可能性もあるとした。
 報告書は同大の金子聰・同大熱帯医学研究所教授を中心に作成。イベントは昨年12月、同市尾上町の出島メッセ長崎で開いた「トーク&ミュージックライブ『風に向かって立つ』」。ゲストにシンガー・ソングライターさだまさしさん、「ジャパネットたかた」創業者の髙田明さんを迎えた。
 参加者のうち、ワクチン接種記録を事前登録した入場者は1024人。未接種者ら42人は当日、会場で抗原検査を受けて陰性を確認した。陽性者はいなかったが、陽性確認時の対応が課題とした。「感染の心配が軽減され安心した」との感想が多く、今後の利用についても肯定的だった。
 一方、イベント後に感染性が高い新変異株「オミクロン株」が急拡大。金子教授は「ワクチン2回接種者も感染はあり得る」と指摘。今後、感染を抑制しながら経済活動を維持するには、抗原検査を気軽に受けられる検査センターなどの設置や高齢者、重症化リスクを抱える人への3回目のワクチン接種の早期実施、治療薬の早期適用などが重要としている。


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