一大イベントの博覧会も終わり 7市町「山口ゆめ回廊」の今後は?

 2017年3月、山口市と宇部市を中心都市として、萩市、防府市、美祢市、山陽小野田市、島根県津和野町を加えた7市町で、「山口県央連携都市圏域」(愛称:山口ゆめ回廊)の連携協約が締結。そして、昨年7月から12月まで、7市町を舞台にした周遊型博覧会「山口ゆめ回廊博覧会」も開催された。圏域における一大イベントを終え、今後の「山口ゆめ回廊」では、どのような事業が展開されるのだろうか。

▲期間中JR新山口駅に設置された「ゆめ回廊博」シンボルモニュメント

 「第1期山口県央連携都市圏域ビジョン」の計画期間は、2017年度から2021年度まで。①観光推進や②中小企業支援などに、広域連携の強みを生かす取り組みが進められている。各市町における地域資源の磨き上げや、観光コンテンツ造成など、①の成果を圏域の内外に発信するために開催されたのが「山口ゆめ回廊博覧会」だ。一方②では、各市町における相談窓口の設置と、それらをつなぐ圏域版プラットホームの構築が進行中。さらに、商工会議所など圏域内の商工団体同士の連携も強化されてきた。

 加えて、移住・定住の促進に向け、7市町合同による移住定住フェアや、中高生への地元企業の認知度向上を図る「やまぐち未来のしごとフェスタ」、就職活動前の学生を対象とした企業訪問バスツアーなども開催。また、圏域の農林水産物の魅力を発信するために、ガイドブック「山口ゆめ回廊うまいもんブック」の制作や、道の駅連携による販売促進イベントにも取り組んだ。圏域の災害対応力の向上を目指し、山口市、萩市、防府市の3市による消防通信指令業務の共同運用に向けた準備も進められている。

 そして、第1期ビジョンの期間が今年3月で終了するため、2022年度から2026年度までの5年間を計画期間とする「第2期山口県央連携都市圏域ビジョン」の策定が進行中だ。

 まず、コロナ禍の影響を受けている地域経済の回復に向け、集中的な対策に取り組む。国や県の観光キャンペーン等に合わせた観光需要の取り込みや、圏域内を周遊するマイクロツーリズムなどの策を展開。さらに、国や県とも連携し、中小企業の事業継続支援や、コロナの影響による離職者への支援なども進められる。

 その上で、「観光地域づくりプロジェクト」と、「定住実現・雇用創出プロジェクト」の二つの重点プロジェクトが、第1期に続けて掲げられる。前者では、2025年に開催される「大阪・関西万博」前後の時期に合わせたデスティネーションキャンペーンの誘致を計画。後者では、中小企業における事業承継支援の展開や、移住定住の促進、デジタル人材の育成などが重要テーマだ。

 そして、デジタル化など新たな時代の流れを圏域の発展につなげていく「スマート圏域づくりプロジェクト」と、圏域内の産学官の連携を進めることで新事業等の創出や地域課題の解決を図る「産学官共創のイノベーション圏域づくりプロジェクト」の二つの重点プロジェクトが加わり、第2期では計四つの重点プロジェクトが展開されることになる。

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