子どもを「夢中」にさせることが大事 キャッチボールの始め方と加えたい“ひと工夫”

MTXアカデミー・木村匡宏氏【写真:荒川祐史】

MTXアカデミー・木村匡宏氏は小学生の少年野球からプロ野球選手までを指導

小学生の少年野球からプロ野球選手まで、パフォーマンスコーディネーターとして選手を指導するMTXアカデミー・木村匡宏氏のもとには、プロ野球選手だけでなく、「野球を始めたばかりの子どもたちにどのように教えたらいいの?」という小学校低学年の親子もやってくる。連載「ひきだすヒミツ」では初心者のキャッチボールの投げ方、教え方を頭の発達の側面から紹介したい。

【動画】子どもに分かりやすい木村氏の指導「指のストレッチ編」

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野球を始めたばかりの子どもたちにどのように教えたらいいのでしょうか? そのような質問もよく受けます。家ではまず、“野球ごっこ”から始めていきましょう。YouTubeもノウハウ系ではなく、かっこいい選手、惚れ惚れするようなボールを投げる選手の映像を一緒に見て、モノマネしていきます。そのうち、好きな選手になりきって、夢中になってボール遊びをし始めたら、“こっちのもの”です。

夢中になってボール遊びを始めたら、いよいよお父さんからのアドバイスを……というわけでは、ありません。ここで教えることを始めてしまったら、子どもはすぐ飽きてしまい、身体の感覚を閉ざしてしまいます。

ひとりでボール遊びを、その様子を見て見ないフリをして、放っておきます。まだまだ、投げるカタチになんて程遠いですが、子どもは確実に、ボールを指先で感じ、投げるという行為を通じて、“開放感”に近い気持ち良さ(=快の感覚)を何度も身体で感じるうちに、投げる=快感という脳のシナプスが繋がり始めるのです。

なので、大人は子どもの遊びを邪魔をしないことです。意図的に放っておくことが投げるという行為を通じて、脳の発達を促すのです。

練習の設計で覚えておきたい3つのこと

では、学童野球のチーム練習はどうでしょう。野球の基本はキャッチボールですから、アップをしたあとに、キャッチボールに入りますよね。ところが、子ども同士のキャッチボールは、あっちに行ったり、こっちに行ったりで、中々、成り立たない様子です。

ここでひと工夫。キャッチボールという「投げる」と「捕る」という行為をあえて分けて練習していきます。子どもたちの脳を「投げる練習をする」ときは、投げる行為にだけ集中させる作戦です。このときに、1球投げたあとに、あまり時間をおかずに次々と投げる動作に入るように工夫してみてください。そして、同じように「捕る練習」は捕るだけ集中作戦へと移行して
いきます。

動きを学習していく際には、ワーキングメモリーという短期記憶の働きを使っていきます。“投げる”動作をパターンとして記憶を作っていくのです。ですので、“投げる”動作を上達させたい時には、投げる動作だけを、短い時間で、何回も繰り返していくことで、効率よく動作を覚えていきます。

子どもたちへの練習を設計するときには

1.快か不快で、ものごとを覚えていく。
2.夢中になって“ごっこ遊び”を始めたら、深い集中力を育てるチャンス。
3.動きは、記憶。動作のタスクをシンプルにして、短い時間で繰り返す。

この3つを抑えておくだけでも、子どもたちが取り組みやすい練習ができるのではないでしょうか!

○木村匡宏(きむら・まさひろ)
1979年1月11日生まれ、福島県出身。福島高校、慶大硬式野球部所属。一般企業やアスリートの競技力向上支援する施設での勤務経験を経て、現在、MTX ACADEMYチーフディレクター。最も力を発揮しやすい姿勢と言われる「パワーポジション」の重要性を説き、プロ選手から育成年代まで数多くの野球選手のサポートを行っている。

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