劇団で照明の取り付けなどに従事した際、アスベスト(石綿)を吸い込み、中皮腫を発症したとして、男性劇団員の遺族らが国と建材メーカー15社に総額約3億2千万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回弁論が21日、横浜地裁(波多江真史裁判長)であった。
意見陳述した弁護団は「劇団員など、今ある救済基金制度で救済されない方もいる。深刻な被害に対し、これまでの枠組みにとどまらず救済を図ることが重要」などと訴えた。
一方、国とメーカー側は請求棄却を求めた。
原告は劇団員の遺族や、建設労働者とその遺族らで、県内外の17人。訴状によると、劇団員の男性は公演準備のために学校や公共施設の天井裏で照明機材の取り付けを行っていた。救済基金による救済の対象である「電工」と「ほぼ同様」の業務を担ったと訴えている。男性は中皮腫を発症して2016年に死亡した。