金正恩時代に入り、朝鮮では模型航空競技がメディアに頻繁に紹介されるようになった。
金正恩総書記が航空クラブを訪れ、選手たちを激励したニュースが報じられたこともある。
スカイダイビングやパラグライダーなどとともにスカイスポーツに含まれる模型航空競技。模型航空機による飛行を計測・審査する競技で、機体の形式や仕様によってフリーフライト、コントロールライン、ラジオ・コントロールなどさまざまな種類のカテゴリーがある。
朝鮮でも毎年4月の太陽節に際してプロアスリートらが競い合う「万景台賞体育競技大会」で種目として採用されているほか、国際航空連盟(FAI)のアジア大会で優勝するなど国際大会でも好成績を残している。2016年に開催された朝鮮初の航空ショー「元山国際親善航空祭典-2016」でも競技の一つとして行われ、来場者を楽しませた。
競技用の模型航空機は、FAI のスポーツ規定に定義され、各国がそれに従う
最近では、朝鮮国内で新たに設計・製作された模型航空機が競技関係者の間で注目を集めている。新しい模型航空機は平壌市航空クラブで製作したもので、各地の航空クラブでも大きな関心を集め普及が進んでいる。
平壌市航空クラブで新たに設計・製作した模型航空機は折りたたみ主翼を採用したもの。上昇高度を獲得でき、滑空性能を高めることもできる。
同クラブのキム・ソギョン監督(41)は、「昨年、新型の模型航空機を自力で設計・製作する目標を掲げて、監督、選手たちが一丸となって取り組んできた。飛行試験により新型の模型航空機の性能を確認し、今後国内における競技大会で利用できるようになった」と話す。
同クラブでは模型航空機の性能をより高めるため、毎年展示会と飛行試験を行っている。新型の模型航空機もここでお披露目され、関係者たちの高い評価を得た。
また、展示会には、従来と比べて性能が一段とアップグレードされた無線リモコンも出品され、専門家らの注目を集めた。
同クラブではまた、模型航空機の製作用加熱炉を自力でつくり、量産の土台を築いた。
現在の模型航空機の機体は、プラスチック系の新素材を使用した構造が多い。
模型航空機をプラスチック素材で製作するためには、炭素繊維を含むプラスチック素材を100℃以上の加熱炉で焼成しなければならない。そのため加熱炉が必要となる。同クラブではこれを自力でつくりあげた。
キム監督は、「当クラブの活動家と従業員らが知恵を絞ってつくった模型航空機製作用加熱炉は、わが国の模型航空種目の物質的・技術的土台を強化するうえで意義ある成果だ」と話す。
加熱炉が完成したことで、同クラブではプラスチック素材を用いた良質でデザイン性の優れた模型航空機を量産できるようになった。同クラブで製作した模型航空機は現在、各地のクラブでトレーニングや競技に積極的に利用されている。