西湘バイパスPAが2月から閉鎖 高波回避へかさ上げ 津波高も考慮

大幅なリニューアルとなる西湘パーキングエリアの完成イメージ図。手前が横浜方面(中日本高速道路提供)

 2019年10月の台風19号(東日本台風)で深刻な高波被害を受けた西湘バイパス西湘パーキングエリア(PA、神奈川県小田原市国府津)が2月から12月末まで、本格的な復旧工事で閉鎖される。事業を行う中日本高速道路によると、高波の影響回避とともに津波のリスクを考慮した対策で、海側の擁壁とPA内の路面を2メートルほどかさ上げし、施設の配置も見直す。

 海に面した下り線の同PA(広さ約8900平方メートル)は、目の前に広がる相模湾の景観が人気の休憩スポット。好立地の反面、高波を受けやすく、東日本台風では売店やトイレなどの建物が損壊し、利用できなくなった。敷地の一部に仮設トイレを置き、19年12月から暫定的に再開する一方、抜本的な対策を検討していた。

 本格復旧では、PAの路面を盛り土などで2.2メートルかさ上げし、海抜10.0メートルの高さを確保する。擁壁の高さは11.1メートルにする計画だ。相模トラフの巨大地震で想定される津波高も考慮したという。

 海側にあったトイレや休憩施設は高波の影響を受けないよう本線側に移し、売店を廃止する代わりにキッチンカーが営業できるスペースの確保を検討する。被災した建物は既に取り壊されており、PAを閉鎖する2月1日以降、かさ上げに着手する予定だ。事業費は「非公表」としている。

 中日本高速は今後、AI(人工知能)を活用した越波の遠隔監視システムの実証実験も実施。「高波に対してはPAの閉鎖や本線の通行止めを行い、安全を確保したい」としている。

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