まん延防止 初の週末 「人流より人数」に賛否 長崎、佐世保市

まん延防止等重点措置が適用されて迎えた初の週末、長崎新地中華街では県外の観光客らがランタンの下を行き交っていた=22日午後0時6分、長崎市新地町

 新型コロナウイルスの感染者が急増し長崎、佐世保両市を適用区域に2回目の「まん延防止等重点措置」の対象となった本県は22日、適用後初の週末を迎えた。美術館でのんびり過ごす家族連れの姿がある一方、観光地は客足が減り閑散とする施設もあった。政府に対策を助言する専門家有志が公表した「人流抑制より人数制限を」などとする提言については賛否の声が聞かれた。
 「久しぶり家族での外出。大声を出す場所ではないので、感染対策に気を付けながら楽しみたい」。諫早市の男性会社員(30)は家族3人で長崎市の県美術館を訪れた。開館時間を短縮しイベントを中止して企画展などをしている。午前10時の開館時には約20人が並んだ。男性は「人の流れを止めるより時短や(感染リスクの高い場面・場所での)人数制限に賛成」と専門家有志の提言を支持した。
 長崎市浜町で買い物をしていた無職男性(79)は「外出は必要最小限にすべき。自粛は必要」と提言に否定的。提言では、新変異株「オミクロン株」は感染拡大のスピードは速いが、基礎疾患のない50歳未満の多くは感染しても症状は軽いと指摘する。男性は「軽く見ていたら外出して感染する人が増えて医療が逼迫(ひっぱく)しないか」と不安視した。
 感染急拡大による医療の機能不全を防ぐため、提言では重症化リスクの低い若年層について「受診せず自宅療養を」と方針転換を促す。県外出身の佐世保市の女子大学生(21)は「医療現場が大変なので反対とまでは言えない。ただ学生は1人暮らしが多く、自宅で療養ができるのか不安は大きい」。緊急事態宣言が出た際は1人で自宅にいて、精神的なストレスは大きかったとして「自宅療養の場合の心のケアもしっかり考えてほしい」と求めた。
 恒例の長崎ランタンフェスティバルは2年連続で中止になり、ランタンだけが飾られた長崎市の新地中華街には福岡市から日帰りバスツアー客らが観光に訪れた。福岡市の男性会社員(59)は「不安もあったが申し込んでいたので来た」。
 長崎市はグラバー園など主要観光施設を休館した。佐世保市は「感染拡大防止と社会経済活動の両立」を目指し市の観光施設の営業を続ける。
 九十九島水族館(海きらら)は時短営業はせずにイルカのプログラムなどを中止した。「開いていると知って来た」という福岡県の20代カップルもいたが、客足はまばら。周辺を散歩していた地元の60代男性は「屋内の施設は人が密集しやすいので、もう少し厳しい措置があってもいいのでは」と心配そうに語った。
 長崎、佐世保両市を避けて余暇を楽しむ動きも。雲仙市内の神社へ初詣をし足湯施設に立ち寄った長崎市の男性会社員(42)は「長崎市内は感染が怖くて出歩けないので(足湯で)息抜きして帰りたい」と話した。
 NTTドコモがまとめた22日午後3時現在の人出は前日と比べ、長崎駅で18.4%減、浜町のアーケードで8.2%減、佐世保四ケ町で24.1%減だった。


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