MicrosoftがActivision Blizzardを買収、Diablo IVはどこへ? 阿久津良和のWindows Weekly Report

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米Microsoftは現地時間2022年1月18日、Activision Blizzardの買収を発表

した。

驚くべきはその金額。2017年に買収したLinkedInは当時の最高額、262億ドル(約2.9兆円、1ドル=114円で換算)だったが、Activision Blizzardは687億ドル(約7.8兆円)と3倍近い。Microsoftは先の発表で、自社ゲーム事業の成長を加速させ、将来的にメタバースの構成要素に活用することが買収を決断した理由だと説明している。

これで、Activision、Blizzard、Kingが持つゲームコンテンツをXbox Game Passで展開可能になるが、Microsoftが巨額な投資を行う理由のひとつがゲーム市場。2021年のゲームタイトル総発売数はプラス64%(前年比)だ。米国ではユーザーの51%がコンソール機やPC、モバイルデバイスで週7時間以上ゲームを楽しんでいるという。

この数値は大げさではなく、HPが2021年9月から10月に実施した調査でも、コロナ禍のもと日本国内ユーザーのゲームプレイ時間は増加し、76%が今後もゲームを楽しむと回答している。その結果、市場規模は2,000億ドル(約23兆円)におよび、Microsoftも「この2年間は特にゲームが人々の生活を豊かにするために重要であるか、波及した(中略)。現在、世界中で30億人のユーザーがゲームをプレイし、2030年には45億人に達するだろう」(Microsoft Chairman and CEO, Satya Nadella氏)と語り、ゲームの将来性を高く評価している。

今回の買収でMicrosoftは、Tencent、ソニーに次ぐ世界第3位のゲーム企業となるため、687億ドルは決して高い買い物ではないのだろう。ただ、筆者が懸念しているのはActivision Blizzardのコンテンツだ。初代「Diablo」、そして「Diablo II」に愛着を持つオールドPCゲーマーの個人的意見なのだが、現在は魅力的なタイトルが見当たらないのだ。

筆者はFPSゲームは不得手なので「Call of Duty」シリーズは未プレイだが、「Diablo III」も従来のハック&スラッシュを脱却しておらず、「Diablo II: Resurrected」も最近はご無沙汰。MicrosoftにActivision Blizzardが合流しても、月額850円(税別)のXbox Game Passの契約には踏み切れない。

Microsoftの説明によれば、Activision Blizzardの月間アクティブユーザー数は約4億人。日本を含む世界190カ国で展開しているが、この一部がXbox Game Passの会員約2,500万人に加わるのは大きい。加えて、Activision BlizzardコンテンツのIP(知的財産権)や、30におよぶゲーム開発スタジオ、eスポーツの事業を継承できることに価値がある。

過去の買収によってMicrosoftは、「Minecraft」のMojang Studios、「The Elder Scrolls」シリーズのBethesda Game Studiosなどを手中に収め、ゲームのポートフォリオを着々と拡充させているのは確かだ。Microsoftは早期からPCゲームに注力してきており、その方向性はブレていない。

Activision Blizzardの買収完了は2023年度を予定しているが、気になるのは、クリエイティブディレクターの解雇など開発が暗礁に乗り上げた「Diablo IV」の存在だ。Battle.netでプレイするのか、Xboxアプリ経由でプレイするのか楽しみである。

蛇足だが、近年のActivision Blizzardは各種ハラスメント問題で揺れ動いていた。Microsoftに合流することは、約1万人を数えるActivision Blizzard従業員に取って、ポジティブな出来事ではないだろうか。

著者 : 阿久津良和

あくつよしかず