中学野球は軟式?硬式?部活?クラブチーム? 迷う進路の選択は「引き算で考える」

MTXアカデミー・木村匡宏氏【写真:荒川祐史】

進路、受験、野球、大切な未来がある子どもたちにできること

小学生からプロ野球選手まで、パフォーマンスコーディネーターとして選手を指導する木村匡宏氏のMTXアカデミーには、中学チームを硬式か軟式かで悩む小学6年生など、進路に悩みを持つ親子がやはり多いと言う。少年野球の進路に関わるFirst-Pitch連載「セレクトデザイン」では木村氏のブレてはいけない2つの指針を紹介する。

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小学4年生、5年生ぐらいから、中学の進路について相談を受けることがあります。来年も、野球をそのまま続けて大丈夫なのか。塾に切り替えて、受験に備えるか。中学では、硬式野球か、軟式野球か、部活動か、クラブチームか……。将来がどうなるのかは、誰もわかり得ない中で、進路を決めていかねばならない。選択肢が多いほど、選択に迷いますし、情報が多いほど、まだ情報が不十分ではないかと不安になります。

我々にとって、最良の選択をするにはどうしたらいいのか……。複雑で、不確実な状況の中では「引き算で考えるといいよ」と教わったことがあります。引き算とは、あれも大事、これも大事と考えるのではなく、その中でも大事なことは何なのか、ちゃんと押さえておくべき考え方は何かと考えることです。それには、科学的な研究に基づいた知見に触れてみることが大事になります。

私が学んだ2つのことをご紹介させて頂きますと、1つは社会的学習を大切にすること。もう1つは「幅」を持って考えてみるということです。社会的学習というのは、人との触れ合いの中で学ぶということで、人は選択をしていく上で、やはり人から影響を受けることが大きいという研究があります。野球チームというコミュニティで、年上のお兄ちゃんたちが、どう進路について取り組んでいるのかを教えてもらったり、我々のようなスポーツアカデミーにいらっしゃることで、リアルな情報を得たりするのも手段の1つです。

たまたま受けた“偶然”から運命が開けることも……

もう1の「幅」を持って考えるというのは、『RENGE(レンジ)知識の「幅」が最強の武器になる』(デイビット・エプスタイン著)という書籍の中で、世の中で才能を発揮して活躍している人は、遅咲きといわれる人たちも多数いることが研究の中で分かったそうです。

私がトレーナーとして関わっているプロ野球選手も、子どもの頃からずっと順調にレギュラーで活躍しているかというとそうではないんですね。怪我で中学生のときにほとんど野球をやれなかったり、野球だけではなく、他のスポーツを経験したり、子どもの頃に、プロ野球選手になるなんて全く思っていなかったという方が多いと感じます。

何かに行き詰まったときには「幅」を持って考える。野球も、勉強も、チーム練習も、塾も、その子にとって大切な経験として考えてみる。その中で、偶然、受けた影響から、“たまたま”進路が決まっていく。でもその“たまたま”が、あとから振り返った時に、必然にしか考えられないこともあります。

我々、大人は子どもの存在を様々な角度から理解し、身体の健康的な発育と、脳の健全的な発達を促すためにできることは何かを考えることこそ、大切な未来がある子どもたちへできることではないでしょうか。

○木村匡宏(きむら・まさひろ)
1979年1月11日生まれ、福島県出身。福島高校、慶大硬式野球部所属。一般企業やアスリートの競技力向上支援する施設での勤務経験を経て、現在、MTX ACADEMYチーフディレクター。最も力を発揮しやすい姿勢と言われる「パワーポジション」の重要性を説き、プロ選手から育成年代まで数多くの野球選手のサポートを行っている。

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